前立腺がんの初期症状と検査方法、検診に掛かる費用とは

前立腺がんの検査を大まかに説明すると「(1)PSA検査を中心とした検査で前立腺がんの疑いがあるかどうかを確認する」、「(2)前立腺生検によって確定診断する」、「(3)画像検査で病期を確定する」という流れになっています。ここでは、この検査の流れについて紹介しますので参考にして下さい。

また前立腺がんの症状についても解説していきますが、例えば風邪などのように身近な病気だと「なんとなくこの症状は風邪っぽいな…」と想像がつくと思います。しかし前立腺がんの初期には何の症状もないことが多いため、ほとんどの場合がある程度進行してから気づくということになってしまいます。

このような前立腺がんで生命や健康的な生活が脅かされないために、少しでも早く発見するにはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。ここでは、そのために役立つ情報についてお伝えしたいと思います。

前立腺がんの主な初期症状

早期の前立腺がんでは、多くの場合ほとんど自覚症状がありません。もし症状があるとすれば「尿が出にくい」「尿の回数が増えた」といったものです。これらも気をつけていないと見落としてしまうような変化です。そのため自覚症状からは気づきにくい種類のがんであると言えます。

前立腺がんが進行すると、症状はよりはっきりとしてきます。尿や精液に血液が混じるという症状やなかなか良くならない腰痛という症状が現れます。特に進行した前立腺がんでは骨への転移があるため、強い痛みとなることもあります。

前立腺がんの中には悪性度の低いものもあり、その場合は進行も遅く生命や生活に影響を及ぼさないことが少なくありません。がん以外の病気で亡くなった男性の30%前後から、生命や生活に影響しなかった前立腺がんが見つかっています(このように死後に初めて見つかるがんを「ラテントがん」といいます)。当然このような「ラテントがん」は無理に見つけなくても健康的に過ごすことができます。大事なのは、生命や生活に悪い影響がある進行が速い前立腺がんに気づくことです。

前立腺がん自己診断チェック

前立腺がんでは、はじめの頃には特徴的な自覚症状がないために自己診断することが難しいと言えます。しかし、進行スピードが極めてゆっくりである場合については、生涯気づかないままで症状も出ないまま天寿を全うするということもありますので特に気にしなくても良いでしょう。気にするべきは、生命や生活に悪影響があるような前立腺がんです。次のような状態・症状があると、進行しつつある前立腺がんかもしれません。ご自身でチェックするときの参考として下さい。

  1. 血縁者に前立腺がんの方がいる。
  2. 尿が出にくくなっている。
  3. 尿の回数が増えている。
  4. 尿や精液に血液が混じっている。
  5. なかなか良くならない腰痛がある。

検診と検査項目

がん検診で行われる検査

前立腺がん検診として、まず行われるのがPSA検査す。これは採血だけで検査可能ですので比較的手軽に行えます。また、がん検診を行っている医療機関によってはPSA検査に加えて直腸内触診や画像検査を行なうこともあります。

PSA検査は、前立腺で作られる特別なタンパク質であるPSAが血液にどのくらい漏れ出しているのかを調べる検査です。健康な方でもPSAは血液に漏れ出しているのですが、前立腺がんや前立腺肥大といった病気があると、より多く血液中に漏れ出します。そのため、血液中のPSAの値が高いと「前立腺に何らかの病気があるだろう」と考えられます。このPSA検査を受け、結果として値が高ければ専門医の診察を受けるなど積極的な対応が必要です。

直腸内触診は、診察医が肛門から指を入れ、腸の壁越しに前立腺の硬さや表面のなめらかさを確認する検査です。前立腺にがんが発生していると前立腺が硬くなり、表面もゴツゴツとしてきます。そのため診察医が直接触れることによって、がんの疑いが強いかどうかを確かめることが出来ます

その他の検査

その他に経直腸エコー検査が行われることがあります。経直腸エコー検査では肛門から専用の超音波が出る機械(プローベ)を挿入し、超音波の反射波で前立腺の画像を作ります。もし、がんがある場合には黒い影として映ります。このように前立腺の状態を描き出し、前立腺がんの可能性があるかどうかを見ていきます。

前立腺がんの疑いから確定診断まで

このような検査を経て(多くの場合は、PSA検査のみということが多いですが)、前立腺がんの疑いが有るという場合には確定診断のための検査を行います。

確定診断のために必要な生検検査

前立腺がんの疑いが有る場合に確定診断のために必要になるのは、前立腺生検という検査です。この検査では前立腺の組織を少量採取して顕微鏡で観察します。それによって「がん細胞があるかどうか」、「がん細胞があったとしたら悪性度合いはどうか」を詳しく知ることが出来ます。前立腺がんは前立腺の複数箇所にできますし、場所によって悪性度合いが異なることもあります。そのため生検で採取する組織は1箇所だけでなく10~12箇所で採取します。

採取する時には、がんがどこにあるのかがわからないと採取できません。そのため経直腸エコーの機械を使って場所を確認します。採取する場所が決まったら生検専用の機械を使って、細い針を前立腺に刺して組織を採取します。この時、針を差し込む場所には2通りあります。1つめは、直腸から行う方法です。この方法では麻酔をせずに行えますが、まれに合併症(感染による発熱・出血)があります。もう1つの方法は、会陰部の皮膚から行う方法です。こちらは麻酔が必要ですが、合併症の危険性がほぼありません。

検査を受ける際には、検査方法の利点・欠点や、その医療機関での実績についても医師からの説明がありますので、わからないことは良く確認してから検査を受けるようにして下さい。

ステージ確定のための検査

確定診断後には、転移の有無や前立腺の中での広がり具合を確認し、病期(ステージ)を確認することが必要になります。病期確認のためにはCTやMRIの検査が追加されます。さらに進行した前立腺がんでは骨への転移があることから、骨シンチグラフィーという検査を行い骨転移の有無を確認します。

検診に掛かる平均費用

人間ドックでの検査費用

人間ドックでPSA検査を受ける場合には、保険証が使えませんので自費診療となります。医療機関によって金額に多少の差がありますが3,000円前後となっています。健保組合や会社によってはPSA検査を受ける際に補助金が出ることがありますので、検査を受ける前に担当の方に確認してみて下さい。

保険適応で受ける検査

人間ドックでのPSA検査の結果や自覚症状から前立腺がんが疑われるときには、医療機関での検査が必要になります。医療機関での検査は保険診療になりますので検査費用は通常の医療機関での診療と同じ扱い(健康保険の適応)です(基本的に3割が自己負担)。

例えば、入院日数が2日で前立腺生検を受けた場合、およそ37,000円(3割負担)となります。ただし、主治医の先生が病状などに応じて必要と考えられる検査を付け加える場合がよくあります。このようなことは前立腺以外の病気も心配されるような場合に特に多いです。このような場合には自己負担額が変化しますので金額は参考までとして下さい。

記事内容の修正に関する報告
経歴:

2004年、医学部を卒業・医師免許取得(医籍登録番号は43万台)。その後、直ぐに大学院に進学し、疫学・予防医学・産業保健を研究した。大学院卒業後は、産業保健の実務を行いながら、医学研究を行っている。