肺がんになりやすい人の特徴や原因リスクについて

がんの中で最も死亡者数が多いのが肺がんです。

肺がんの原因としてはタバコが有名ですが、そのほかにも肺がんになりやすい特徴や生活習慣があります。また、肺がんにはいくつかの種類があり、レントゲンで見つけやすいがんと見つけにくいがん、そして進行の早いがんと遅いがんがあることから、自分はどのがんになりやすいのか、そのがんを予防したり早期発見するためにはどうしたらいいのかを知っておく必要があります。

肺がんとは

肺がんは呼吸にかかわる肺や気管支から発生するがんです。
肺がんには治療の際に重要となる組織型による分類と発生部位による分類があります。

肺がんの種類

組織型による分類

治療方針は小細胞がんとそれ以外で異なるため、ひとまず小細胞がんと非小細胞がんに分類します。非小細胞がんには腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんがあります。

小細胞がん
増殖速度が速く転移や再発しやすい
タバコとの関連が大きい

非小細胞がん

腺がん
最も多い(肺がんの60%を占める)
特に非喫煙者や女性の肺がんで多くみられるタイプ
扁平上皮がん
比較的肺門部にできやすい
咳や血痰といった症状が現れやすい
タバコとの関連が大きい
大細胞がん
増殖スピードが速い

部位による分類

がんが発生した部位で分類したものです。
呼吸をつかさどる肺は、どの気管(気管支)とつながっているかによって、5つに分けられます。右の肺は上から右上葉、右中葉、右下葉の3つに、左の肺は上から左上葉と左下葉の2つにわけられ、がんの発生した位置により「右上葉肺がん」「左下葉肺がん」などと表現をします。
また、組織型が判明していなくても、がんの発生した位置により、どの組織型である可能性が高いかを推測することができます。具体的には気管が最初に枝分かれする部分(胸の真ん中に近いところ)を肺門部(はいもんぶ)と呼び、この部分のがんを「肺門型」と表現します。肺門部がんで多い組織型は扁平上皮がんや小細胞がんです。逆に胸の外側にできたがんは「肺野型」と表現し、腺がんや大細胞がんが多くみられます。

肺がんの頻度

2016年にがんと診断された人の中で肺がんは男性の第4位(10万人あたり135.9人)、女性では第6位(10万人あたり64.2人)、男女の合計では第3位(10万人あたり99.1人)でした。
また2018年がんで死亡した中で肺がんは男性の第1位(10万人あたり86.7人)、女性の第2位(10万人あたり34.4人)、男女の合計では第1位(10万人あたり59.8人)でした。

組織型では男性の肺がんは喫煙者が多いことから腺がんと扁平上皮がんがそれぞれ約40%を占めますが、女性の肺がんでは腺がんが63%を占めています。

肺がんの主な原因とリスクファクター

飲酒

アルコールの摂取量と肺がんの発症を調べた調査では、喫煙者に限ると、飲酒量が多いと肺がんになりやすい傾向がみられました。具体的には時々お酒を飲む人と比較して、毎日日本酒で2合以上飲む人は肺がんの発生率が1.7倍高いという結果でした。タバコを吸わない人では飲酒による変化は見られていません。機序としてはお酒に含まれるエタノールが分解されてがんの発生を促すアセトアルデヒドになること、そしてエタノールをアセトアルデヒドに分解する酵素がタバコに含まれる発がん物質を活性化し、この相乗効果によって肺がんの発生が増加すると考えられています。

家族歴

家族に肺がんになった人がいる場合、肺がんになる危険性が男性では1.7倍、女性では2.7倍高いことが判明しています。この関係は本人が喫煙者であるよりも非喫煙者でより強く見られ、組織型別では扁平上皮がんで強くみられました。
家族歴が肺がんに関係しているということは、肺がんの発生に遺伝的要素が関連している可能性を考えるとともに、親がタバコを吸っていると子供も喫煙者になりやすい、生活が同じになりやすいといった生活習慣の類似が考えらえれています。

赤身肉(男性のみ)

食べ物と肺がんの発症について調べた調査では、男性に限り、赤身肉の摂取が多い人ほど肺がんになりやすい傾向が見られました。その機序としては赤身肉を高温で調理した際に発生する発がん性物質や、加工の際に使用される保存料の影響が考えられていますが、原因は断定されていません。

女性ホルモン(女性のみ)

女性ホルモンの1つであるエストロゲンは肺がんの一部にみられるエストロゲン受容体を介してがん化を促したり、がん細胞の増殖を促進すると考えられています。エストロゲン受容体は男性よりも女性で、扁平上皮がんよりも腺がんで多く発現すると言われています。
一生涯における女性ホルモンの分泌量は生理が早く始まった人、閉経が遅い人で多くなります。実際これらの人では通常の女性よりも肺がんの発生率は2倍であったと報告されています。また人工的に閉経し、その後女性ホルモン剤を使用した人では、女性ホルモン剤を使用しなかった場合と比較して肺がんの発生率が2倍以上になっていました。これらの結果は体内で産生される女性ホルモンも、人工的に体外から投与された女性ホルモンによっても肺がんの発生率が上がることを示唆しています。

肺がんになりやすい人の特徴

年齢・性別

肺がんの発症は男女ともに50歳を過ぎたあたりから患者数が増え、年齢が上がれば上がるほど発症率は増加します。男女の比較では男性のほうが女性よりも2倍近い発症となっていますが、これには男性のほうが喫煙者が多いことが強く関連していると考えられます。

タバコと肺がんの関連性

多くの調査で喫煙は肺がんの発症と強く関連していると報告されています。さらに、喫煙年数、1日あたりの喫煙本数が多ければ多いほど肺がんになる危険性が上がり、禁煙を始めて時間が経てば経つほど肺がんになる危険性は低下することもわかっています。

具体的にはタバコを吸っている人は吸っていない人と比較して、男性では4.4倍、女性では2.8倍肺がんになりやすいという結果でした。また組織型では扁平上皮がんが男性で11.7倍、女性で11.3倍、腺がんでは男性で2.3倍、女性で1.4倍でした。
また、喫煙者はもちろん、タバコの煙を周りで吸った人にも肺がんの危険性が上がることが分かっています(本人はタバコを吸わないのに、家族などが喫煙することでタバコの煙を吸うことを受動喫煙といいます)。タバコを吸わないで肺がんになった女性の調査では、夫が喫煙している場合、していない場合と比較して有意に腺がんになりやすかったと報告されています。

予防と早期発見のコツ

適切に肺がん検診を受ける

肺がんによる死亡率を下げると証明されて実施されている肺がん検診は、40歳以上の全員を対象にした胸部レントゲン検査と50歳以上で喫煙指数(1日に吸うタバコの本数に喫煙年数を掛け算したもの)が600以上の喫煙者に限って行う喀痰細胞診があります。検診は毎年行うことが推奨されています。

しかし、この検診は大勢の人を対象に、できるだけ身体的負担や金銭的負担がないように検査内容や間隔を考えたものです。肺がんの中には発症してから数カ月で大きくなるタイプもあり、自分自身が肺がんになりやすいタイプかどうかを知り、場合によっては検診以外に人間ドックなどを組み合わせて、より短い間隔で検査を受けることも検討しましょう。

肺がんの予防につながる食べ物

キャベツ(男性のみ)

タバコを吸わない男性に限りますが、キャベツの摂取量が多い人ほど肺がんになる危険性が低下し、最大で43%低下していました。機序は明らかになっていませんが、キャベツにはがんの発生を抑えるイソチオシアネートやビタミンCなどが含まれており、これらの成分ががんの発生を抑えている可能性が考えられています。

イソフラボン(男性のみ)

喫煙歴のない男性においてイソフラボンの摂取は最大で57%肺がんの発生リスクを減らしました。肺がんの一部ではがんの増殖を促すEGFR受容体の変異が認められますが、イソフラボンの1種であるゲニステインはEGFR受容体から産生されるチロシンキナーゼの活性を抑えることにより肺がんの発生を抑制している可能性が考えられています。

記事内容の修正に関する報告
経歴:
日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会専門医 大学病院・二次救急病院・在宅医療での勤務。現在は医療系記事のライターとして活動し監修歴は4年。