手術数で分かる肝臓がんの名医がいる病院ランキングトップ10

肝臓がんには治療のガイドラインがあります。通常はそれに従って治療方針を決めますが、実は肝臓がんはほかのがんと比較して治療の選択肢が多く、その治療方針の決定は病院の設備や医師の腕、経験値により異なることもあります。

例えば肝臓にがんが1個見つかっても、それが肝臓の前にあるのか、後ろ側にあるのか、血管の近くにあるのかで治療方針が違う場合もあるのです。ですから、担当医から病気についての説明を聞く場合は、がんの状態はもちろん、肝臓全体の状態(肝機能)や他の病院では違う治療が選べるのかどうか、といったことも聞いておくとよいでしょう。

場合によっては複数の医師の意見を聞くことも必要かもしれません。しかし治療方針を決めるためにあまり時間を費やしてしまうと、その間にがんが大きくなってしまうこともあります。基本的に複数の医師の意見を聞きたい場合は担当医に紹介状を書いてもらい、画像を含めた情報をもって他病院のセカンドオピニオンを受けるとよいでしょう。

肝炎ウイルス感染が原因で発生した肝臓がんの場合は、がんの治療だけでなく、肝臓そのものの治療も重要です。長期的に病院に通院する必要が出てくるかもしれませんので、病院選びの際には通いやすさも含めて検討しましょう。

どの病院でセカンドオピニオンを受けていいかわからない場合は、肝臓がんの症例を多く見ている病院を選ぶという方法もあります。ここでは病院選びの参考に肝臓がんの手術数をDPCデータからランキングにしました。手術件数の多い病院は、肝臓がんの患者が集まりやすい病院でもあり、経験値の多い医者が集まっていることが多いと考えられます。

肝臓がんの手術が適応となる症例

肝臓がんは治療ガイドラインがあります。治療方針の決定には以下の項目を評価します。

  • 肝臓の機能がどのくらいか(肝硬変があるかどうか、など)
  • 肝臓外への転移があるかどうか
  • 肝臓内のがんが脈管(動脈・門脈・胆管)を巻き込んでいるかどうか
  • がんの個数や大きさ

のうち肝切除術の適応になるのは、一般的に肝臓の機能が手術に耐えられる状態で、肝臓外への転移や脈管の巻き込みがなく、個数が3個以下の場合です。ただし、肝臓がんの治療は選択肢が多い分、本人の状態や病院側の設備、医師の腕など、さまざまな要因で治療方針が変わる場合があります。

肝臓がん手術数トップ10

厚生労働省が集計し公表している平成29年度のDPCデータをもとに、肝臓がんに関連した手術件数の多い病院トップ10です。

DPCとは病名や治療ごとに決められた医療費の定額支払い制度で、大きな病院のほとんどがこのDPC制度を取り入れています。病院が医療費を請求する場合、主となる病名や行った治療などを報告しなければならないため、そのデータを分析することにより、どの病院でどんな病気の患者が多く治療を受けているかがわかります。

肝臓がんに関しては治療方法として「肝臓がん2区域切除以上で血行再建を伴う手術」「肝臓がん部分切除術」「肝臓がんラジオ波焼灼療法」について年間の患者数が報告されています。このうち前者2つは開腹もしくは腹腔鏡による手術になります。「肝臓がん2区域切除以上で血行再建を伴う手術」は切除する肝臓の量も多く、さらに血管をつなぎなおす必要もあり、術者の高度な技術が必要です。「肝臓がんラジオ波焼灼療法」は一般的に開腹は必要なく、病院によっては内科が治療を担当することもあります。

肝臓がん2区域切除以上で血行再建を伴う手術のデータ

 

肝臓がん2区域切除以上で血管再建を伴う手術の多い病院

(開腹術と腹腔鏡手術の合計):数字は年間症例数

  1. 北海道大学病院(50例)
  2. 公益財団法人 がん研究会 有明病院(38例)
  3. 大阪市立大学医学部附属病院(32例)
  4. 久留米大学病院(32例)
  5. 静岡県立静岡がんセンター(30例)
  6. 日本大学医学部附属病院板橋病院(27例)
  7. 虎の門病院(27例)
  8. 名古屋大学医学部附属病院(25例)
  9. 関西医科大学附属病院(24例)
  10. 防衛医科大学校病院(23例)
  11. 順天堂大学医学部附属順天堂医院(23例)
  12. 東京大学医学部附属病院(23例)
  13. 熊本大学医学部附属病院(23例)

肝臓がん部分切除術のデータ

肝臓がん部分切除術の多い病院

(開腹術と腹腔鏡手術の合計):数字は年間症例数

  1. 公益財団法人 がん研究会 有明病院(131例)
  2. 日本大学医学部附属病院板橋病院(131例)
  3. 虎の門病院(115例)
  4. 静岡県立静岡がんセンター(111例)
  5. 埼玉医科大学国際医療センター(106例)
  6. 広島大学病院(102例)
  7. 九州大学病院(100例)
  8. 獨協医科大学病院(86例)
  9. 熊本大学医学部附属病院(81例)
  10. 国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院(78例)

肝臓がんラジオ波焼灼療法のデータ

肝臓がんラジオ波焼灼療法の多い病院

※数字は年間症例数

  1. 順天堂大学医学部附属順天堂医院(614例)
  2. NTT東日本関東病院(360例)
  3. 東京大学医学部附属病院(316例)
  4. 公立学校共済組合 関東中央病院(243例)
  5. 日本赤十字社東京都支部 武蔵野赤十字病院(212例)
  6. 社会福祉法人 三井記念病院(185例)
  7. 一般財団法人厚生会仙台厚生病院(184例)
  8. 松山赤十字病院(183例)
  9. 近畿大学医学部附属病院(183例)
  10. 岩手科大学附属病院(161例)

手術数以外にも注目したいポイント

がん診療連携拠点病院

がんに関する専門的な医療を提供したり、地域内での連携協力体制を整備などを担う病院で、原則各都道府県に1つ指定されている「都道府県がん診療連携拠点病院」と、各地域で中心的な役割を果たす「地域がん診療連携拠点病院」があります。これらの病院は専門的な知識をもった医療者が所属し、病状に応じた病院間の連携を行ったり、緩和ケアの提供を行ったり、セカンドオピニオンに対応したりします。

肝臓がんと診断されたけれども、どの病院に受診したらいいかわからない場合は、がん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」に相談することもできます。

治療開始までの期間

一般的に評判のいい病院は患者が集まり、場合によってはすぐに手術や入院ができないことがあります。病院にこだわるばかりに治療のタイミングを逃すと診断されたステージよりも進んでしまうことがあるため注意が必要です。特に進行がんになるとがんの発育速度は急激に早くなるという報告もあります。

治療に入るまでの期間を公表している病院の平均的な待ち時間は以下の通りです。

  • 肝切除術 2-4週間
  • ラジオ波焼灼療法 1-3週間
  • 肝動脈(化学)塞栓術 3週
  • 化学療法 2-3週間

検診のシーズンなどには患者が増え、待ち時間がさらに長くなる可能性があります。

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経歴:
日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会専門医 大学病院・二次救急病院・在宅医療での勤務。現在は医療系記事のライターとして活動し監修歴は4年。