腎臓がんのステージ別生存率と平均余命

腎臓がんの予後は他のがんと同じようにがんのひろがりを表すステージによっても異なりますが、腎臓がんはさらに、さまざまなホルモンを作る細胞という側面もあり、ホルモンバランスの乱れによっても予後が異なるため、他のがんにはないリスク分類もあります。

腎臓がんになる人の数は年々増加傾向にあります。同様に腎臓がんで死亡する人の数も増加傾向にあります。腎臓がんの予後を推測するためによく用いられる数字は「平均余命」と「5年生存率」です。これらの数字はあくまで目安であり、実際にはかなり幅があるものですが、治療方針やがんと付き合っていくときには重要な数字となりますので、ここで正しく理解しましょう。

腎臓がんの種類と進行度について

腎臓がんの種類

腎臓にできるがんは大きく分類すると、腎実質にある細胞ががん化した腎細胞がんや、腎盂にある細胞ががん化した腎盂がんがあります。

さらに腎細胞がんは、がん化した細胞の特徴別に細かく分類すると、以下のような種類に分けられます。

  • 淡明細胞がん:腎細胞がんの70-80%を占める、最も多くみられるタイプ。多くは遺伝子異常(3番染色体短腕の欠損)が認められる。
  • 乳頭状腎細胞がん:腎細胞がんの10-15%を占める。透析患者に多く、透析患者に限定すれば腎細胞がんの約40%を占める。遺伝子異常が関与している。サブタイプが2種類あり、タイプ1の方がタイプ2よりも一般的に予後良好。
  • 嫌色素性腎細胞がん:腎細胞がんの約5%を占める。遠位尿細管に発生する。一般的に予後良好。
  • 粘液管状紡錘細胞がん:非常に頻度は少ないが、ほかのがんを合併していることが多く、腎細胞がんの中では最も予後が悪い。
  • 集合管がん(ベリニ管がん):腎細胞がんの1%未満と非常にまれながん。予後不良。
  • 多房のう胞性腎細胞がん:小さな水の袋が集まったタイプのがん。予後は良好。

小児の腎臓がんは約90%がウイルムス腫瘍です。日本では年間70-100例程度発生しています。胎児の時期に腎臓を作る腎芽細胞から発生するがんで、早い場合は出産前にウイルムス腫瘍を発症することもあります。多くは治療に良く反応し、予後の良いがんですが、一部は治療の効果が表れにくいものもあります。
5歳以上になると成人と同じタイプの腎細胞がんを発症することもあります。

腎臓がんの進行度(ステージ)

進行度は腎臓がんの病気のひろがり具合を表します。病変の大きさ、どのリンパ節まで転移しているか、ほかの臓器に転移があるかどうかなどを評価してステージ1から4まで分類したものです。

日本の腎がん取り扱い規約では以下の項目を上から評価して、最初に当てはまるところがその人のステージということになります。

ステージ4

別の臓器に転移があるか、所属リンパ節に2個以上の転移を認める場合
もしくはがんがゲロタ筋膜を超えて広がっている場合
もしくはがんが副腎に及んでいる場合

ステージ3

所属リンパ節の1つに転移を認める場合
もしくはがんの大きさが腎静脈、周囲の脂肪組織、下大静脈、右心房におよんでいる場合

ステージ2

がんが腎臓内にとどまるものの、直径が7㎝を超える場合

ステージ1

がんが腎臓内にとどまり、直径が7㎝以下の場合

画像検査の結果を上から順番に照らし合わせて、該当するものがステージになります。

リスク分類

リスク分類とは、予後の良し悪しを推測したものです。
腎臓がんのリスク分類は転移性の腎臓がんの予後を予測するために作られたMSKCC分類と、分子標的治療の予後を予測するために使用されているIMDC分類があります。

MSKCC分類(下の5項目のうちいくつに当てはまるかで分類する)

  • 初診時から治療開始までの期間が1年未満である
  • Karnofskyの一般全身状態スコアが80%未満(日常生活がどのくらいできているかを数値化したもの。数字が低いほど日常生活でできないことが多いことを表している:目安として労働ができない場合、この項目に当てはまる)
  • 貧血がある
  • 補正カルシウム値の上昇
  • LDHが正常上限の1.5倍を超えている当てはまる項目がない場合「低リスク」
    当てはまる項目が1-2個の場合「中リスク」
    3個以上当てはまる場合「高リスク」とする

    IMDC分類(下の6項目のうちいくつに当てはまるかで分類する)

    1.初診時から治療開始までの期間が1年未満である
    2.Karnofskyの一般全身状態スコアが80%未満(日常生活がどのくらいできているかを数値化したもの。数字が低いほど日常生活でできないことが多いことを表している:目安として労働ができない場合、この項目に当てはまる)
    3.貧血がある
    4.補正カルシウム値の上昇
    5.好中球数の増加
    6.血小板数の増加

→当てはまる項目がない場合「低リスク」
当てはまる項目が1-2個の場合「中リスク」
3個以上当てはまる場合「高リスク」とする

腎臓がんのステージ別5年生存率

5年生存率とは

5年生存率は正式には5年相対生存率といいます。病気ごとの治療効果を表現するための数値で、性別や年齢の条件を同じにそろえた上で、交通事故などほかの事故や病気で亡くなる数を取り除き、腎臓がんのある人とない人の5年後の生存数を比較したものです。5年生存率が100%に近ければ近いほど治療効果の高い病気、0%に近ければ近いほど治療効果が出にくい病気ということになります。
がん全体の5年生存率は男性で62.0%、女性で66.9%、全体では64.1%でした(2009~2011年のデータ)。

腎臓がんの5年生存率はどのくらいあるか(注:この統計は膀胱以外の腎・尿路系として集計されています)

2006~2008年の腎臓がんの5年生存率は男性で70.4%、女性で64.8%、全体では68.6%でした。

またステージ別の5年生存率では、がんが腎臓内にとどまった状態(ステージ1と2に該当)では94.3%、領域リンパ節にひろがった状態(ステージ3と遠隔転移のないステージ4に該当)では53.6%、他臓器に転移がある状態(ステージ4のうち遠隔転移がある場合に該当)では12.4%でした。

腎細胞がんに限った場合、個々の病院での報告では腎臓にとどまっている場合の5年生存率は73-93%、周囲脂肪浸潤があるものでは63-77%、遠隔転移があるものは11-30%という報告もあります。

ステージ4の平均余命とは

平均余命とは同じ病気の人が100人いたとき、半分の50人が亡くなる時期を示します。100人の患者の生存期間をすべて足して人数で割った「平均」ではないことに注意が必要です。患者や家族にとっては平均余命はとても気になる数字ですが、がんに対する治療効果を判断するのは平均余命ではなく5年生存率です。平均余命はあくまで目安であり、かなり幅がある数字であることを知っておきましょう。

ステージ4の平均余命

腎臓がんステージ4の平均余命は九州大学病院のグラフによると17ヶ月でした。このデータは腎臓がん以外で死亡した人も含んでいます。ステージ1~3の平均余命は観察期間の60か月(5年)を超えても50%を切っていませんでした(つまりステージ1~3の平均余命は5年以上ということになります)。

罹患数と死亡数の推移

罹患数の推移

腎臓がんの患者数は調査開始の1975年から年々増加し、2003年には10万人あたり10人を突破、2015年には20.7人となり、この12年で倍増しています。この傾向は男女別でも変わりありませんが、全体に男性のほうが患者の割合は多く、2015年の男性は10万人あたり28.9人、女性は12.8人でした。

死亡数の推移

腎臓がんによる死亡者数は、罹患者数と同様に年々増加しています。2000年には10万人あたり3.8人でしたが、2015年には7.3人となっています。

腎臓がんの末期症状とケアに関して

腎臓がんの末期症状

腎臓がんが進行し現れやすい3つの症状は「血尿・お腹のしこり・わき腹もしくは背中の痛み」です。
腎臓は体中の血液を集めて、そこから不要な物質を尿にする臓器です。そのため腎臓には小さな血管がたくさんあります。腎臓がんができて、大きくなると腎臓が壊され、腎臓の中の小さな血管が破れます。その結果、尿に血が混じります。
お腹のしこりは、お腹の上から腎臓がんの塊が触れる状態です。大きさと部位によっては、胃や腸を圧迫して食事量が減ったり、便秘になることがあります。
わき腹や背中の痛みは腎臓周りに現れる痛みです。

腎臓がん末期のケアについて

腎臓に対する処置

血尿の場合、出血量が少ないと予想される場合には止血剤の内服や点滴を行います。貧血が進むほどの大量出血の場合には、ときに輸血も検討されますが、腎臓がんそのものの治療が難しい場合には出血も続く場合があるので、輸血を行うべきかどうか、いつまで輸血をするのかについては慎重に検討しなければなりません。がんの転移があって、根本的な治療が難しい場合でも、血尿が続く場合には、出血を止める目的で、腎臓を取り出す手術を検討する場合もあります。

また出血量によっては尿の中に血液の塊ができることもあります。その場合、血液の塊が尿の通り道に詰まると、尿がどんどんたまり痛みや感染の原因になります。尿管(腎臓と膀胱をつなぐ管)で詰まった場合には尿道から管を通して、ステントと呼ばれるストロー状の管をいれて、尿の流れを回復する処置を行うことがあります。尿道(膀胱から尿を出す管)が詰まった場合には尿道に一時的、もしくは継続的にカテーテルと呼ばれる管を入れて尿の通り道を確保します。

症状に対する処置

痛みについてはほかのがんと同様に、医療用麻薬などを用いて痛みを取り除く治療が行われます。
がんが大きくなって腸の動きが悪くなったり、便秘になった場合は、状態にあった下剤を使用します。
食欲不振や吐き気についてはその症状を和らげる薬が使われます。
そのほか精神的な不安が強い場合は、不安を和らげる薬を使うこともあります。

参考文献

記事内容の修正に関する報告
経歴:
日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会専門医 大学病院・二次救急病院・在宅医療での勤務。現在は医療系記事のライターとして活動し監修歴は4年。