腎臓がんになりやすい人の特徴や原因リスクについて

腎臓がんは初期では症状が出ることが少なく、早期発見の難しい病気でもあります。
腎臓がんとはどのような病気なのでしょうか?そしてどのような人が腎臓がんになりやすいのでしょうか?腎臓がんを予防するにはどのような事に気をつけたらいいのでしょうか?
ここではそれらの疑問を明らかにしていきます。

腎臓がんとは

腎臓で作られた尿は、腎盂(じんう)という空間に集められて、腎臓と膀胱をつなぐ尿管という管を通って膀胱に貯められます。その後尿道を通じて外に排出されます。

これらの臓器ではいずれの部位でもがんが発生します。腎臓に発生したがんは腎臓がん、腎盂は腎盂がん、尿管は尿管がん、膀胱は膀胱がん、尿道は尿道がんと呼びます。

実際には細胞の特徴や治療の方法が似たものを集めて、「腎臓がん」「腎盂・尿管がん(まとめて上部尿路がんと表現されることもあります)」「膀胱がん」「尿道がん」に分類して診断・治療を検討します。

「腎臓がん」の70-80%は淡明細胞がんと呼ばれるタイプのがんです。このタイプのがんを発症する人の多くは遺伝子異常(3番染色体短腕の欠損)が認められるという特徴があります。次いで多いのは乳頭状腎細胞がんで、腎細胞がんの10-15%を占めます。透析患者に多く見られるという特徴があります。小児の腎臓がんは約90%がウイルムス腫瘍です。

「腎盂・尿管がん」は腎臓がんと異なり、移行上皮とよばれる粘膜細胞からがんが発生します。この特徴は「膀胱がん」でも同じです。「尿道がん」はこれらの中では最も頻度の少ない病気です。

この記事では「腎臓がん」を中心に紹介していきます。

腎臓がんの頻度(発表では腎臓がん単独ではなく、腎臓と尿路がんの合計で報告されています)

2014年にがんと診断された人の中で腎臓・尿路がんは男性の第8位(10万人あたり27.1人)、女性の第15位(10万人あたり12.0人)、全体では第7位(10万人あたり19.4人)でした。
また2017年がんで死亡した人の中で腎臓・尿路がんは男性の第11位(10万人あたり9.9人)、女性の第11位(10万人あたり5.4人)であり、全体では9番目(10万人あたり7.6人)でした。

腎臓がんの主な原因とリスクファクター

長期のNSAID服用

NSAIDは鎮痛剤(痛み止め)の1種で、炎症を抑える効果もあることから大腸がんや乳がん、前立腺がんではがんの発生を抑制するという報告もありますが、腎臓がんに関しては4年以上服用した場合、腎臓がんになる危険性が1.3倍、10年以上の服用では3倍増加すると報告されています。

高血圧

腎臓がんを発症した人の既往歴を検討した報告では、高血圧になったことがある人は無い人の4.3倍腎臓がんになりやすいことが判明しています。
高血圧についてさらに細かく調べたところ、収縮期血圧(上の血圧)、拡張期血圧(下の血圧)それぞれでも、数値が高くなると腎臓がんになる危険性が上がることが分かりました。
収縮期血圧(上の血圧)では、140未満の人と比較すると、140以上150未満の人は1.6倍、150以上の人は4.3倍腎臓がんになるという結果でした。
拡張期血圧(下の血圧)も85未満の人と比較すると、85以上90未満の人は2.0倍、90以上の人は4.8倍腎臓がんになるという結果でした。

喫煙

喫煙者は非喫煙者と比較して1.4~2倍腎臓がんになりやすいと報告されています。

そのほかに、統計学的に有意ではありませんでしたが、糖尿病の人はそうでない人と比較して1.7倍腎臓がんになりやすかったという報告もあります。

腎臓がんになりやすい人の特徴

腎臓がんになりやすい年齢・性別

腎臓がんは50-70歳が好発年齢です。性別では男性が女性の1.5倍発症しやすいというデータになっています。

von Hipple-Lindau病:常染色体優性遺伝の疾患。がん抑制遺伝子の機能異常ががん発生につながっていると考えられています。この病気の半数では比較的若い年齢で腎細胞がんを発症し、多くは両方の腎臓に複数のがんを認めます。

慢性透析

慢性透析をしている人に合併しやすい後天性のう胞性腎疾患から高確率で腎細胞がんが発生することが判明しています。透析をしている人は後天性のう胞性腎疾患からのがんの発生率は一般の人の10倍と報告されています。

肥満と腎臓がんの関連性

痩せや肥満の程度の指標としてBMIがあります。BMIとは体重(kg)を身長(m)で割り算し、その答えをさらに身長(m)で割ったものであり、日本肥満学会の基準では18.5~25までが正常とされています。例えば身長が165㎝、体重が82㎏の場合のBMIは82÷1.65÷1.65≒30となり、BMIは約30ということになります。

10万人を対象にした調査において、BMIで分類して腎臓がんの発生率を比較した場合、男性では23-24.9のグループよりも21未満の痩せているグループでは約1.9倍、27以上の肥満のグループでは約2倍、腎臓がんの発生率が増加していました。女性ではBMI21-24.9のグループと比較してBMI25以上のグループでは約1.6倍発生率が上がっていました。

肥満になると腎臓がんの発生が増える理由としては、肥満になると腎臓に流れる血液の量が増え、これにより腎臓が発がん物質の影響を受けやすくなること、また肥満によりインスリンの効きが悪くなりインスリン様成長因子が増えることで細胞の増殖が進み、その際にがん細胞のきっかけが増えること、さらにアポトーシスと呼ばれる、異常細胞を消し去る働きが低下することなどが考えられています。

予防と早期発見のコツ

腎臓がんの予防

腎臓がんになる危険性を下げるためには高血圧を放置しないことです。またタバコはそのものが危険因子である上に、喫煙により血圧をあげる効果もあるので、禁煙しましょう。また、肥満も危険因子となるので、食事や運動を見直しまして適正なBMIをめざしましょう。

腎臓がんの早期発見には腹部エコーか腹部CTの入った検診を

腎臓がんは比較的画像検査で見つけやすく、実際7割の人は無症状で偶然腎臓がんが見つかっています。しかし、市町村の検診では腎臓がんを見つけることができる腹部エコーや腹部CTの項目がないことが多いので、好発年齢である50歳を過ぎたら、腹部エコーもしくは腹部CTの検査が含まれる人間ドックなどをうまく組み合わせる必要があります。

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経歴:
日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会専門医 大学病院・二次救急病院・在宅医療での勤務。現在は医療系記事のライターとして活動し監修歴は4年。