手術数で分かる大腸がんの名医がいる病院ランキングトップ10

大腸がんと診断を受けたら、どの病院で治療を受けるのか考えなければなりません。だれでも評判のいい病院で治療を受けたいと考えますが、いい病院はどうやって探せばいいのでしょうか?

実は大腸がんはその病気のひろがり具合やステージによって治療方針はガイドラインで決まっています。ステージ3までであればどの病院であっても治療はほとんど変わらないため、標準的な治療を受ける場合、わざわざ遠くの病院まで足を延ばして治療を受ける必要はほとんどありません。

ただし、ステージ4の場合は病院の持っている設備や医師の技術によって治療方針が異なる可能性があります。また訳があって標準と異なる治療を希望したり、持病によって治療の制限がある場合などでは大腸がん治療の経験が豊富な病院のほうが安心です。大腸がんの手術数の多い病院は大腸がん治療の経験が多い病院と考えられるので、ここでは大腸がんの手術数をDPCデータからランキングにしました。病院選びの参考にしていただければと思います。

大腸がんの手術が適応となる症例

大腸がんは治療ガイドラインがあり、基本的には病気のひろがり具合によって治療方針が決まります。大腸がんで手術適応となるのはがんがとり切れると判断された場合、具体的にはステージ3までの大腸がんと、ステージ4、つまり遠隔転移があっても転移先もあわせて手術できると判断された場合です。

大腸がん手術数トップ10

厚生労働省が集計し公表している平成29年度のDPCデータをもとに、大腸がんに関連した手術件数の多い病院トップ10です。

DPCとは病名や治療ごとに決められた医療費の定額支払い制度で、大きな病院のほとんどがこのDPC制度を取り入れています。病院が医療費を請求する場合、主となる病名や行った治療などを報告しなければならないため、そのデータを分析することにより、どの病院でどんな病気の患者が多く治療を受けているかがわかります。

ここでは結腸がんについては腹腔鏡手術を含む完治を目指した手術の症例数を参考にしました。直腸がんについては腹腔鏡手術や骨盤内臓全摘術を含む完治を目指した手術の症例数でランキングを作成しました。

大腸がん全摘出術のデータ

結腸(虫垂を含む)がん症例手術の多い病院:数字は年間症例数

  • 公益財団法人 がん研究会 有明病院(332例)
  • 埼玉医科大学国際医療センター(247例)
  • 静岡県立静岡がんセンター(232例)
  • 虎の門病院(190例)
  • 国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院(190例)
  • 社会医療法人 恵佑会札幌病院(174例)
  • 昭和大学横浜市北部病院(168例)
  • 愛媛県立中央病院(167例)
  • 東京都立駒込病院(154例)
  • 公立大学法人 横浜市立大学附属市民総合医療センター(152例)
  • 国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院(152例)

*このトップ10に入っている病院はすべて腹腔鏡手術も行うことができる病院です。

直腸(肛門を含む)がん症例手術の多い病院:数字は年間症例数

  • 国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院(190例)
  • 埼玉医科大学国際医療センター(181例)
  • 虎の門病院(148例)
  • 国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院(144例)
  • 公立大学法人 横浜市立大学附属市民総合医療センター(144例)
  • 大垣市民病院(132例)
  • 静岡県立静岡がんセンター(125例)
  • 東京都立駒込病院(125例)
  • 東京大学医学部付属病院(124例)
  • 昭和大学横浜市北部病院(113例)

*このトップ10に入っている病院はすべて腹腔鏡手術も行うことができる病院です。

手術数以外にも注目したいポイント

ステージ3までなら病院によって差はない

大腸がんは治療ガイドラインがあり、ステージ3まではどの病院でも治療方針は大きく変わらないと考えられます。問題はステージ4です。ステージ4は大腸以外の臓器にも病変がある状態で、病院によって治療方針が変わる可能性があります。

例えば肝臓に転移がある場合、治療の選択肢として手術、血管内治療、ラジオ波凝固療法、エタノール注入療法、化学療法、放射線療法などがあります。これらは病院の持っている機械や医師の技術などにより病院によって選択肢が異なる可能性があります。ステージ4の場合、その病院ではどの治療ができるのか、その中でどの治療が適していると考えられるのか、ほかの病院では別の治療方法があるのかといったことも聞いておくと納得して治療が受けられるかもしれません。

治療方針を決める際に聞いておくとよいポイント

そのほかに、治療方針を決める際に聞いておくとよいポイントを挙げました。

  • 内視鏡手術の場合:万が一、腸に穴が開くなどの偶発症がおこったら、手術など外科のバックアップはあるのか。
  • 開腹手術や腹腔鏡手術の場合:病院内に病理医はいるのか。手術中に迅速病理診断ができるか。
    →病理医がいて迅速病理診断ができる場合は、手術中にがんがとり切れているかを診断することができます。万が一、がんが残っている可能性がある場合、手術を終える前に追加切除が可能です。
  • 化学療法を行う場合:化学療法は手術前になるのか、手術後になるのか?
  • 外来で行うのか?入院が必要か?
  • 使う薬は何?どうしてそれが選んだのか?
  • 治療期間は?
  • 考えられる副作用は?
  • 放射線治療を行う場合:それは治療なのか?症状を和らげるためなのか?
  • 臨床試験に参加できるか?

がん診療連携拠点病院

がんに関する専門的な医療を提供したり、地域内での連携協力体制の整備などを担う病院で、原則各都道府県に1つ指定されている「都道府県がん診療連携拠点病院」と、各地域で中心的な役割を果たす「地域がん診療連携拠点病院」があります。

これらの病院は専門的な知識をもった医療者が所属し、病状に応じた病院間の連携を行ったり、緩和ケアの提供を行ったり、セカンドオピニオンに対応したりします。

大腸がんと診断されたけれども、どの病院に受診したらいいかわからない場合は、がん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」に相談することもできます。

各病院の5年生存率は良い病院の目安になるのか?

一部の病院ではその病院で治療をうけた患者の5年生存率が公表されています。5年生存率とは、大腸がんになった人が治療を受け、5年後に生存している確率ということになるので、一般的には数字が大きいほうが良い病院に見えるかもしれません。しかし、この5年生存率にはからくりがあります。

例えば、他の病院で「手術はできません」と言われた患者が、別の病院で「非常に厳しいですが、手術してみましょう」ということになった場合、その病院の5年生存率は低くなりがちです。評判の良い病院には他の病院で治療が難しいといわれた患者が紹介されて集まることも多く、結果、名医がいる病院であるにも関わらず5年生存率は他の病院と比較して厳しい結果になることがあります。あくまで5年生存率は目安と考えたほうが良いでしょう。

治療開始までの期間

一般的に評判のいい病院は患者が集まり、場合によってはすぐに手術や入院ができないことがあります。病院にこだわるばかりに治療のタイミングを逃すと診断されたステージよりも進んでしまうことがあるため注意が必要です。特に進行がんになるとがんの発育速度は急激に早くなるという報告もあります。

治療に入るまでの期間を公表している病院の平均的な待ち時間は以下の通りです。
手術 3-4週間
内視鏡手術 4週間
化学療法  2週間
放射線治療 1週間
検診のシーズンなどには患者が増え、待ち時間がさらに長くなる可能性があります。

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経歴:
日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会専門医 大学病院・二次救急病院・在宅医療での勤務。現在は医療系記事のライターとして活動し監修歴は4年。