子宮頸がんの初期症状と検査方法、検診に掛かる費用とは

他のがんでも同様ですが、子宮頸がんは、早期発見が特に重要なポイントです。

では、子宮頸がんでは早期発見のために、どのような症状に注意すれば良いのでしょうか。実は、子宮頸がんの早期には症状がほとんどありません。そのため、早期発見のためには子宮頸がん検診を受けることが必要です。そして、もし、運悪く子宮頸がん検診で「子宮頸がんの可能性がある」と言われてしまったら、急いで精密検査を受けることが必要です。

そこで、この記事では、子宮頸がんの症状、子宮頸がん検診の項目、精密検査について紹介していきます。是非、子宮頸がんを早期発見するための参考にして下さい。

子宮頸がんの主な初期症状

子宮頸がんの初期には、ほとんど症状がありません。そもそも子宮頸がんは、正常な状態から急にがんになるわけではありません。最初に、正常な細胞から「異形成」という状態に変化します。この異形成という状態は正常ではないものの、病気と言うほど悪化はしていませんので、特に症状がありません。そのため、子宮頸がん検診や妊婦健診などの際に子宮頸部の診察を受けて、初めて異形成や初期の子宮頸がんが発見されるケースが多くなっています。

病気が進行して、異形成の状態から子宮頸がんの状態になると徐々に症状が現れはじめます。例えば、月経中の時期でもないのに出血(不正性器出血)したり、膿のようなおりものが増えたりする等の症状が出現します。さらに病気が進行すると、下腹部や腰の痛みが生じたり、尿や便に血が混じったりすることもあります。

子宮頸がん自己診断チェック

上記のように子宮頸がんでは、初期に自覚症状がほとんど何もないので、自己診断をすることが困難です。ですが、特にリスクが高くなるような状態や、初期~中期に出現することの多い症状があります。ここではそういった事柄をリストアップします。ここで挙げた症状は、子宮頸がんだけに特徴的なものではありませんが、他の子宮や膣の病気でも起りうるものですので、心当たりが有る場合には、婦人科の医師に相談するようにして下さい。

  1.  子宮頸がんワクチンを接種していない。
  2.  性交渉相手が多い。
  3.  性交渉開始年齢が低い。
  4.  不正性器出血がある。
  5.  おりものが多い
  6.  尿や便に血が混じっている。

検診と検査項目

子宮頸がんの早期発見のために、各市区町村が20歳以上の女性を対象とした「子宮頸がん検診」を実施しています。具体的な時期や受診の申し込み方法については、住民票のある地域の役所窓口やホームページで確認して下さい。確実な子宮頸がん予防のために、子宮頸がん検診は2年に1度のペースで定期的に受診することが厚生労働省の方針として勧められています。

一般的な子宮頸がん検診では、「問診用紙の記入」「視診」「細胞診」という3つの項目について診察・検診が行なわれます。

まず、受診すると窓口などで問診用紙が手渡されます。この問診用紙に月経周期や直近の月経の状態、生理痛、妊娠歴などを記載して下さい。その問診票を踏まえて、担当の医師からの質問がありますので、それに答えていきます。

つぎに、視診が行なわれます。視診とは読んで字のごとく、目で見て状態を確認する診察方法です。子宮頸部は外からは見ることが出来ませんので、膣鏡という医療器具を膣内に入れて、子宮頸部の状態を確認します。この方法でおりものの状態や子宮頸部に炎症や異常な変化があるかどうかを確かめます。

最後に細胞診を行ないます。細胞診ではブラシなどの器具で子宮頸部をこすって、子宮頸部の細胞を採取し、顕微鏡を使って詳しく観察します。観察した結果、異常な細胞がある場合には、「どの程度の病変か?」「どの程度がんが進行しているか?」などについて専門医が診断します。

これらの結果を踏まえて、精密検査が必要かどうかを専門医が判断し、結果通知が返されます。なお、子宮頸がん検診は生理中でも受診自体は可能ですが、判定が不正確となる場合がありますので、避けた方が良いでしょう。

子宮頸がん検診の効果は絶大であることが分かっています。検診の効果を調べた研究によると、40%以上の方が検診を受けた地域では、10年間のうちに子宮頸がんによる死亡率が63.5%減少していました。しかし、10%台の方のみが検診を受けた地区では、33.3%の減少にとどまっていました。つまり、子宮頸がん死亡をかなり下げる効果があると言えます。

子宮頸がんの疑いから確定診断まで

確定診断のために必要な検査

コルポスコープ+組織診

コルポスコープ(膣拡大鏡)は、子宮頸部を拡大してより詳しく観察するための医療器具です。これを用いた観察によって、子宮頸部が「正常」「異形成」「がん」のいずれの可能性が高いのかを判断をします。そして、特に異常の可能性が高いと考えられる箇所の組織を採取します。採取した組織は、顕微鏡で観察し、異形成・がんの確定診断を行ないます(組織診)。さらに検査を実施している専門医が必要と判断した場合には、子宮頸部を円錐状に切除することもあります(円錐切除術)。

コルポスコープでの観察では、痛みや出血などを伴うことはほとんどありませんが、組織診では痛みや出血を伴うことがあります。円錐切除術の影響として、その後の妊娠において流産率・早産率が上昇するという研究報告もありますが、不利益はなかったという報告もありますので、現時点でははっきりとはしていません。いずれにせよ専門の先生に定期的に診てもらうようにして下さい。

がんの広がりを特定するための検査

超音波検査

超音波を出す器具(プローブ)を体の表面にあてて、その超音波の反射波を元に内部の状態を調べる方法です。膣の中やお腹から超音波をあてて子宮、卵巣、リンパ節の状態を確認し、子宮頸がんが転移していないかどうかを調べます。

CT検査/MRI検査

放射線を利用するCTや磁気を利用するMRIでは、体の断面図を描画することで検査します。超音波検査と同様に、子宮頸がんが近くのリンパ節や離れた臓器への転移がないかどうかを調べます。

内視鏡検査

内視鏡による検査には、尿道から膀胱にカメラを挿入する「膀胱鏡検査」と肛門からカメラを挿入する「直腸鏡検査」があります。いずれも、子宮頸がんが膀胱・直腸の内部にまで広がっていないかどうかを調べます。

検診に掛かる平均費用

子宮頸がん検診での検査費用

各市区町村では、20歳以上の女性に対して子宮頸がん検診を実施しています。住民票のある市区町村で検診を受ける場合、無料で受けられたり、一部自己負担で受けられたりします。各市区町村で自己負担額が決められていますので、役所窓口やホームページなどで確認して下さい。

各市区町村が実施する検診以外(住民票のある地域で検診を受ける等)で子宮頸がん検診を受けると、全額自己負担となります。この場合は5000円~8000円の費用がかかります。ただし、不正性器出血などの自覚症状が有る場合は、通常の保険診療の適応となりますので、病院等の窓口で掛かった費用の一部(多くの場合、3割負担)を支払うことになります。

精密検査での検査費用

子宮頸がん検診で「異常あり」となった場合、精密検査を受ける必要があります。この場合は、市区町村からの補助はありませんが、通常の診療と同様に保険診療が適応となることがほとんどです。

子宮頸がんの確定診断のために必要な精密検査として、コルポスコープでの診察と組織診断を行なった場合の料金は、5000円程度(3割負担の場合)です。

記事内容の修正に関する報告
経歴:

2004年、医学部を卒業・医師免許取得(医籍登録番号は43万台)。その後、直ぐに大学院に進学し、疫学・予防医学・産業保健を研究した。大学院卒業後は、産業保健の実務を行いながら、医学研究を行っている。