手術数で分かる乳がんの名医がいる病院ランキングトップ10

乳がんはステージだけでなく、細胞の種類や受容体の有無などにより治療方針が異なる特徴があります。また、治療と同時に再発予防も検討しなければならず、その人に合った治療をしてくれる病院を探す必要があります。どの病院を受診すればいいかわからない時、その病院はどのくらいの乳がんの患者をみているのかは、その病院の1つの目安になります。

厚生労働省が発表しているDPCデータは病院ごとの手術の件数を報告しており、一般的に手術件数が多い病院は乳がん患者をたくさん診ていると考えられるので、自宅の近くに専門医がいない場合にはそのような病院で診断や治療方針を決めてもらうのも1つの方法かもしれません。
ここでは乳がんの手術数をDPCデータからランキングにしました。病院選びの参考にしていただければと思います。

乳がんの手術が適応となる症例

手術が基本的な治療となるのはステージ0~2の乳がんです。ステージ0では手術のみ、ステージ1、2では状態によってまず薬物療法を行ってから手術を行います。またステージ3の基本的な治療は薬物療法ですが、場合によっては薬物療法後に手術を行うことがあります。
手術は病変とその周囲1~2cmの余白を切除しできる限りの乳房を残す乳房部分切除術と、乳房をすべて切除する乳房切除術があります。また、乳房の再建術としては乳がんの切除と同時に再建する方法と、後日改めて手術を行う方法があります。

乳がん手術数トップ10

厚生労働省が集計し公表している平成29年度のDPCデータをもとに、乳がんに関連した手術件数の多い病院トップ10をランキングにしました。
DPCとは病名や治療ごとに決められた医療費の定額支払い制度で、大きな病院のほとんどがこのDPC制度を取り入れています。病院が医療費を請求する場合、主となる病名や行った治療などを報告しなければならないため、そのデータを分析することにより、どの病院でどんな病気の患者が多く治療を受けているかがわかります。

DPCのデータ上、乳がんに関連した手術は以下の5つに分類されています。
1 腋窩部郭清を伴う乳房部分切除術
2 単純乳房切除術(乳房全摘術)
3 乳房部分切除術(腋窩郭清を伴わないもの)
4 動脈(皮)弁および筋(皮)弁を用いた乳房再建術 2次的なもの
5 組織拡張機による再建手術
乳房部分切除術のうち、腋窩リンパ節の郭清を行うものは1、行わないものは3に該当します。また、4、5は乳房の再建手術です。

ここでは乳房部分切除術のうち腋窩郭清を伴う1、乳房全摘術の2、そして乳がんの治療とは直接関連しませんが、乳がんの手術とは異なり形成外科が関わることが多い5の組織拡張機による再建手術の3つについて手術件数のランキングを作成しました。

腋窩部郭清を伴う乳房部分切除術(1に該当)の多い病院:数字は年間症例数

国家公務員共済組合連合会 東北公済病院(303例) 
公益財団法人 がん研究会 有明病院(185例) 
聖路加国際病院(163例)
独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター(162例) 
国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院(149例)
旭川医科大学病院(139例)
聖マリアンナ医科大学病院(139例)
神鋼記念病院(124例)
医療法人天声会おおもと病院(123例)
埼玉医科大学国際医療センター(120例)

乳房全摘術(2に該当)の多い病院:数字は年間症例数

公益財団法人 がん研究会 有明病院(632例)
国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院(273例)
聖路加国際病院(249例)
昭和大学病院(224例)
聖マリアンナ医科大学病院(216例)
愛知県がんセンター中央病院(214例)
医療法人鉄蕉会 亀田総合病院(209例)
神奈川県立がんセンター(199例)
順天堂大学医学部附属順天堂医院(194例)
北九州市立医療センター(188例)

組織拡張機による再建手術(5に該当)の多い病院:数字は年間症例数

公益財団法人 がん研究会 有明病院(255例)
医療法人社団 札幌道都病院(134例)
東京都立駒込病院(112例)
昭和大学病院(98例)
医療法人鉄蕉会 亀田総合病院(92例)
国家公務員共済組合連合会 東北公済病院(79例)
順天堂大学医学部附属順天堂医院(77例)
地方独立行政法人 広島市立病院機構 広島市立広島市民病院(75例)
虎の門病院(74例)
医療法人湘和会湘南記念病院(68例)

これらの手術は全てを行っている病院がほとんどですが、中には乳房全摘術だけを行っている病院や、乳房部分切除術だけを行っている病院、そして1~3の乳がんの手術は行わず5の再建手術だけを行っている病院もあります。

手術数以外にも注目したいポイント

がん診療連携拠点病院

がんに関する専門的な医療を提供したり、地域内での連携協力体制を整備などを担う病院で、原則各都道府県に1つ指定されている「都道府県がん診療連携拠点病院」と、各地域で中心的な役割を果たす「地域がん診療連携拠点病院」があります。これらの病院は専門的な知識をもった医療者が所属し、病状に応じた病院間の連携を行ったり、緩和ケアの提供を行ったり、セカンドオピニオンに対応したりします。
乳がんと診断されたけれども、どの病院に受診したらいいかわからない場合は、がん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」に相談することもできます。

入院日数

入院日数も病院選びの参考になります。一般的には入院日数が短ければ費用は安くなりますが、退院後頻回に通院が必要な場合はかえって交通費や時間がかかる場合もありますので、退院後の生活や通院頻度なども確認が必要です。

手術内容ごとの入院期間の目安は以下の通りです。

1:腋窩部郭清を伴う乳房部分切除術
対象手術を50例以上行っている病院の入院日数 3.71-21.27日 
症例数ランキングベスト10の病院の平均入院日数 11.39日 

2:乳房全摘術
対象手術を50例以上行っている病院の入院日数 4.20-19.06日 
症例数ランキングベスト10の病院の平均入院日数 10.24日 

5:組織拡張機による再建手術
対象手術を50例以上行っている病院の入院日数 3.96-11.35日 
症例数ランキングベスト10の病院の平均入院日数 6.27日

治療後も通院が可能かどうか

一般的に乳がんの治療は手術をしたらそれで終わりということはありません。術後に薬物療法や放射線療法を行ったり、再発のチェックのために定期的に検査を受ける必要があります。手術後も長く付き合っていく病院になることが多いので、通院が負担にならないような病院であることも考慮しましょう。
どうしても、自宅から遠い病院で手術を受けたい場合は、その後近医で経過を見ていただくことも考慮して、あらかじめ手術前に紹介状など段取りをしておく方がベターです。

治療開始までの期間

一般的に評判のいい病院は患者が集まり、場合によってはすぐに手術や入院ができないことがあります。病院にこだわるばかりに治療のタイミングを逃すと診断されたステージよりも進んでしまうことがあるため注意が必要です。
ホームページに掲載されている手術までの待機期間は1-2か月です。

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経歴:
日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会専門医 大学病院・二次救急病院・在宅医療での勤務。現在は医療系記事のライターとして活動し監修歴は4年。