膀胱がんのステージ別生存率と平均余命

膀胱がんの治療方針は病変が膀胱の壁のどの部分まで入り込んでいるかによって進行度(ステージ)を診断し、決定します。

主要な膀胱がんの種類、ステージはどのように決められるのか、そして平均余命、罹患者数や死亡数の推移、末期膀胱がんの症状やケアについてご紹介します。

膀胱がんの種類と進行度について

膀胱がんの種類

膀胱がんは増殖する細胞の種類で3つに分類されます。最も多くみられるのは、膀胱の内側にある移行上皮から発生した移行上皮がんで、膀胱がんの約9割を占めます。そのほかに約8%が扁平上皮がん、約2%が腺がんですが、この2つのがんは膀胱に炎症が長期間続いた場合や、機械的刺激が続いた場合に発生します。

膀胱がんの進行度(ステージ)

進行度とはがんのひろがり具合を表します。膀胱がんのステージは0から4まであり、さらに0期は0a期と0is期に分けられます。一般的に数字が大きくなるにつれ病気のひろがり具合が広いことを表しています。

0 a期
乳頭状非浸潤がんに該当する状態 がんが膀胱の内側に向かって、カリフラワー上に盛り上がった病変。その根元は筋層までおよんでいない。
0 is期
上皮内がん 表面にとどまる、平らな病変。
Ⅰ期
上皮下結合組織まで浸潤した状態(筋層に及んでいない)
Ⅱ期
筋層まで及んだ状態
Ⅲ期
筋層を超えて膀胱周囲脂肪まで及んだ状態
Ⅳ期
骨盤腔、腹壁まで達しているか、リンパ節やほかの臓器までひろがっている状態

膀胱がんのステージ別5年生存率

5年生存率とは

5年生存率は正式には5年相対生存率といいます。病気ごとの治療効果を表現するための数値で、性別や年齢の条件を同じにそろえた上で、交通事故などほかの事故や病気で亡くなる数を取り除き、膀胱がんのある人とない人の5年後の生存数を比較したものです。5年生存率が100%に近ければ近いほど治療効果の高い病気、0%に近ければ近いほど治療効果が出にくい病気ということになります。
がん全体の5年生存率は男性で62.0%、女性で66.9%、全体では64.1%でした(2009~2011年のデータ)。

膀胱がんの5年生存率はどのくらいあるか

2009~2011年の膀胱がんの5年生存率は男性で76.5%、女性で63.0%、全体では73.3%でした。がん全体と比較すると男性の5年生存率は高いものの、女性では低くなっています。その理由として、血尿が見られた場合に女性は生理と勘違いする場合があること、泌尿器科に受診することに羞恥心がある、膀胱のすぐ近くに子宮や卵巣がありがんが浸潤しやすい、といったことが考えられます。

ステージ別の5年生存率

各病院の報告によるステージ別5年生存率は0a期で90%、0is期で83%、ステージ1で87~89%、ステージ2で71~77%、ステージ3で50~58%、ステージ4で16~28%と報告されています。

ステージ4の平均余命とは

平均余命とは同じ病気の人が100人いたとき、半分の50人が亡くなる時期を示します。100人の患者の生存期間をすべて足して人数で割った「平均」ではないことに注意が必要です。患者や家族にとっては平均余命はとても気になる数字ですが、がんに対する治療効果を判断するのは平均余命ではなく5年生存率です。平均余命はあくまで目安であり、かなり幅がある数字であることを知っておきましょう。

ステージ4の平均余命

膀胱がんステージ4の平均余命は九州大学病院のグラフによると約14カ月です。このデータは膀胱がん以外で死亡した人も含んでいます。
ステージ3の平均余命は23カ月ですが、ステージ2より早期のがんになると、平均余命は観察期間の5年以上という結果でした。

罹患数と死亡数の推移

罹患数の推移

2015年の罹患者は10万人あたり男性で46.8人、女性で12.2人、男女合計では29.0人でした。10年前の2005年のデータと比較すると男女ともに罹患者数は約2倍に増えています。

高齢化の影響を除いた2039年までの罹患者数の予測は、男性では緩やかに減少傾向ですが、女性では横ばいと推測されています。

死亡数の推移

罹患率と同様に10万人あたりの死亡者数も年々増加傾向にあります。男性の場合は2000年に5.2人でしたが、2018年には9.6人になっています。女性の場合も2000年の2.3人から2018年には4.5人になっています。
今後の予測としては罹患率と同様に男性の死亡率は緩やかに減少傾向となりますが、女性は2039年までほぼ横ばいとなっています。

膀胱がんの末期症状とケアに関して

膀胱がんの末期症状

膀胱がんの末期症状は、膀胱にがんが残っている場合、初期症状と同様に血尿がみられます。そのほかに頻尿や残尿感、排尿時痛といった膀胱炎症状があります。

また膀胱の病変が大きくなって腎臓から膀胱まで尿を運んでいる尿管を病変が塞いでしまうと、尿の流れが妨げられて、尿管やその手前の腎盂がふくらみます。その状態はCTや超音波検査で腎臓に水がたまったように見えることから「水腎症」といいます。

水腎症になると腎臓に尿がたまることから、閉塞した側のわき腹や背中が痛くなります。さらに、水腎症の状態が長く続くと尿を作る機能が低下して、腎機能障害が現れます。

病変が膀胱の外側にひろがると周囲の臓器を巻き込んだ症状が現れます。腸を巻き込んだ場合には便秘や下痢、血便、女性の場合には子宮を巻き込んで、生理のような出血が見られることもあります。

膀胱がん末期のケアについて

膀胱に対する処置

膀胱には腎臓で作られた尿を膀胱に届ける左右の尿管の入り口と、膀胱にたまった尿を外に出す尿道への出口があります。

これらの部位を病変が塞ぐと尿の流れが滞り、尿管から膀胱に入る部分がふさがれば、尿管が膨らみ腎盂に尿がたまった水腎症という状態になります。この場合は尿道から膀胱を経由し尿管にステントという管を通して腎臓から膀胱に尿が流れるようにします。もし、このステントを入れることができない場合には、皮膚から腎盂に向かってチューブを挿入し、腎臓から直接外に尿を出す通り道(腎瘻)を作ることもあります。

膀胱の出口がふさがって、膀胱に尿がたまる尿閉状態になった場合には尿道カテーテルという管を入れて膀胱から外に尿が出るようにします。

どの処置もその後は長期に管を入れておく必要があり、定期的に管の交換が必要です。

全身に対する処置

痛みについてはほかのがんと同様に、医療用麻薬などを用いて痛みを取り除く治療が行われます。
食欲不振や吐き気についてはその症状を和らげる薬が使われます。
栄養状態が悪いときには点滴で栄養を補うこともあります。
そのほか精神的な不安が強い場合は、不安を和らげる薬を使うこともあります。

記事内容の修正に関する報告
経歴:
日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会専門医 大学病院・二次救急病院・在宅医療での勤務。現在は医療系記事のライターとして活動し監修歴は4年。