手術数で分かる膀胱がんの名医がいる病院ランキングトップ10

膀胱全摘除術は膀胱だけでなく周囲の臓器も合わて切除する大きな手術であり、さらに尿の通り道を作り直す尿路変向術にはいくつかの選択肢があります。どの尿路変更術を選択するかにより、その後の生活は大きく異なるので、しっかりと納得して治療を選択する必要があります。

どの病院で治療を受けるか迷った場合、膀胱がんの患者をどのくらい見ているか、という情報は1つの参考になります。膀胱がんの患者が多い病院は経験値の高い医者が集まりやすいからです。
ここではDPCデータをもとに、膀胱がんの手術件数が多い病院をランキングで表しました。病院選びの参考にしていただければと思います。

膀胱がんの手術が適応となる症例

膀胱がんは遠隔転移がない限り、基本的には手術による治療になります。

がんが筋層に及んでいない場合は経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)を、筋層以上に進んでいる場合には膀胱全摘除術です。TURBTの場合はさらにリスク分類によりその後の再発の可能性を考えてBCGや抗がん剤の膀胱内注入を行います。膀胱全摘除術の場合は、膀胱を摘出した後の尿の通り道を作る尿路変向術でいくつかの選択肢があります。がんの場所や大きさによっては選択肢がない場合もありますが、尿路変向術でどの方法を選択したかによって、その後の生活が大きく異なりますので、尿路変向術についてはしっかりと説明を聞いて、十分に納得した上で選択することが重要です。

膀胱全摘除術の方法

開腹手術
お腹を切り開いて行う手術です。
腹腔鏡手術
お腹にいくつか小さな穴をあけて、内視鏡などの器具を通して行なう手術です。
手術支援ロボットによる手術
腹腔鏡手術はお腹の傷が小さいことがメリットですが、お腹の中を直接見ることができない、直接臓器に触れられないため開腹手術と比較して難しい手術です。その難しさを減らすために開発されたのが手術支援ロボットです。この手術支援ロボットを用いることにより、視野を拡大したり、器具の手ブレなどを防ぐことができます。

尿路変向術の種類

自排尿型新膀胱造設術
尿道にがんが及んでおらず、尿道を温存することができる場合に選択できます。小腸や大腸を切り取って、膀胱の代わりになる袋をつくり、これに2本の尿管と、尿道をつなぎます。代用の膀胱はもともとの膀胱のように尿意を感じたり、自然に縮むことはないので、就寝中も含めて4時間おきぐらいにトイレに行き、腹圧を使って排尿する必要があります。手術直後は尿漏れがおきるため、紙おむつなどを使用する必要があります。手術としては身体の負担が大きい手術になりますが、尿の袋をつける必要がなく、一番自然に近い形となります。
尿管皮膚瘻造設術
膀胱につながる左右2本の尿管を直接腹壁に縫い付けて、尿を出す方法です。2本の尿管をどちらかに寄せて出口を1か所にする方法と、右の尿管は右の腹壁に、左の尿管は左の腹壁に縫い付けて尿の出口を2か所にする方法があります。手術後は出口に尿を貯める袋を貼り付けて、定期的に袋の交換が必要です。手術としては体の負担が少ない尿路変向術です。
回腸導管造設術
尿路変向術の中で最も多く行われている方法です。小腸の一部を切り離し、そこに尿管を縫い付けて、尿管がつながった小腸を腹壁とつなぐ方法です。手術後は出口に尿を貯める袋を貼り付けて、定期的に袋の交換が必要です。古くから行われている方法で、合併症が少ないという特徴があります。

膀胱がん手術数トップ10

厚生労働省が集計し公表している平成29年度のDPCデータをもとに、膀胱がんに関連した手術件数の多い病院をランキングにしました。
DPCとは病名や治療ごとに決められた医療費の定額支払い制度で、大きな病院のほとんどがこのDPC制度を取り入れています。病院が医療費を請求する場合、主となる病名や行った治療などを報告しなければならないため、そのデータを分析することにより、どの病院でどんな病気の患者が多く治療を受けているかがわかります。

膀胱腫瘍手術のデータ

DPCのデータでは膀胱腫瘍の治療として膀胱全摘除術は開腹手術、腹腔鏡手術の合計が記載されています。(腹腔鏡手術の可否については、それぞれの病院のホームページに掲載されている実績や装備などから記載しましたが、膀胱がんに対して現在行われているかどうかは実際の病院にご確認ください。)

膀胱全摘除術の多い病院(開腹と腹腔鏡の合計):数字は年間症例数

腹:腹腔鏡手術を行っている病院

  • 公益財団法人 がん研究会 有明病院(38例)<腹>
  • 埼玉医科大学国際医療センター(36例)<腹>
  • 東京慈恵会医科大学附属柏病院(33例)<腹>
  • 静岡県立静岡がんセンター(33例)<腹>
  • 筑波大学附属病院(28例)
  • 札幌医科大学医学部附属病院(26例)<腹>
  • 大阪市立大学医学部附属病院(25例)<腹>
  • 市立札幌病院(25例)<腹>
  • 愛知県厚生農業協同組合連合会 安生更生病院(24例)<腹>
  • 社会医療法人 恵佑会札幌病院(24例)<腹>
  • 独立行政法人国立病院機構 北海道がんセンター(24例)<腹>

TURBTの多い病院:数字は年間症例数

  • 大阪医科大学附属病院(445例)
  • 医療法人 原三信病院(297例)
  • 総合病院 国保旭中央病院(281例)
  • 静岡県立静岡がんセンター(237例)
  • 地方独立行政法人 広島市立病院機構 広島市立広島市民病院(230例)
  • 公益財団法人 がん研究会 有明病院(229例)
  • 新潟県立がんセンター新潟病院(220例)
  • 愛知県厚生農業協同組合連合会 安生更生病院(213例)
  • 愛媛県立中央病院(211例)
  • 社会医療法人愛仁会高槻病院(211例)

手術数以外にも注目したいポイント

がん診療連携拠点病院

がんに関する専門的な医療を提供したり、地域内での連携協力体制を整備などを担う病院で、原則各都道府県に1つ指定されている「都道府県がん診療連携拠点病院」と、各地域で中心的な役割を果たす「地域がん診療連携拠点病院」があります。これらの病院は専門的な知識をもった医療者が所属し、病状に応じた病院間の連携を行ったり、緩和ケアの提供を行ったり、セカンドオピニオンに対応したりします。

膀胱がんと診断されたけれども、どの病院に受診したらいいかわからない場合は、がん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」に相談することもできます。

通院が続けられる病院か

膀胱がんは手術をすれば治療が終わり、ということはありません。

TURBTの場合ではその後再発予防のために薬剤の膀胱内注入を行ったり、膀胱全摘除術の場合はそれぞれの尿路変向術に合わせて、ストーマの管理や排尿訓練、管の交換や再発チェックのための定期検査などが必要です。基本的には手術を受けた病院でその後も治療や検査を継続したほうが安心でしょう。ただし、どうしても通院が難しい場合は情報提供書などにより2つの病院で連携をとることができる場合もありますので、病院に相談してみましょう。

治療開始までの期間

膀胱全摘除術では1件の手術時間が6-7時間と長い手術になるため、1日に手術できる患者数は限られます。そのため、膀胱がんの手術は他の臓器のがんと比較して手術までの待機時間が長くなっています。一般的に評判のいい病院は患者が集まり、場合によってはすぐに手術や入院ができないことがありますが、病院にこだわるばかりに治療のタイミングを逃すと診断されたステージよりも進んでしまうことがあるため注意が必要です。

ホームページ上で公開されている手術までの待機時間の目安です。
TURBT:2週間-2か月
膀胱全摘除術:1-2か月

記事内容の修正に関する報告
経歴:
日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会専門医 大学病院・二次救急病院・在宅医療での勤務。現在は医療系記事のライターとして活動し監修歴は4年。