骨・軟部腫瘍の初期症状と検査方法、検診に掛かる費用とは

人間ドックやがん検診という単語には馴染みがあると思います。病院によっても異なりますが、がん検診の対象は、「肺がん」、「胃がん」、「大腸がん」、「乳がん」、「子宮頚がん」、「子宮体がん」、さらには「前立腺がん」、「肝がん」、「膵がん」などです。自治体で行われている検診も、上記のものが大半です。罹患率を考慮すると、骨・軟部腫瘍は対象数が少なく、検診などの対象になることはありません。

「何かできものが出来た」、「ぶつけてもないのに、痛みが続くし腫れている」など自身で気付いていても、「病院に行ったほうがいいのか」、「何科にかかったらいいのか」、「痛みがなければ病院に行かなくていいか」と言った悩みが出てくる方は多いです。

ここでは、少しでもそのような人のお役に立てるように、骨・軟部腫瘍の初期症状と検査方法、またその費用について詳しく紹介させていただきます。自己診断チェック項目も入れますので、これを読んで不安に思うことがあれば医療機関、基本的には整形外科を受診してください。

整形外科の中でも専門は細分化されているので、かかりつけの整形外科病院があれば、まずそちらを受診し専門病院の受診が必要と判断されれば、紹介状とCD-ROM(画像を撮影していれば)を持って、骨・軟部腫瘍を専門とする整形外科を受診してください。

骨・軟部腫瘍の主な初期症状

ここでは骨腫瘍と軟部腫瘍を分けて見ていきましょう。

骨腫瘍の主な症状

骨腫瘍の主な症状には、疼痛(痛み)、腫脹、病的な骨折があります。病的な骨折とは、大したことのないエネルギーで折れる、病気が原因の骨折のことであり、”歩いているだけで折れた”、“少し躓いただけで折れた”など整形外科医が見ると不自然に感じる折れ方をします。

良性と悪性を比較すると、良性骨腫瘍では、軽い痛みや病的な骨折を生じることはありますが、無症状のまま経過することが多いです。骨軟骨腫や類骨骨腫は骨の隆起を触れますが、骨の中に発生する腫瘍は相当進行しなければ、隆起を触れることはありません。

悪性骨腫瘍では、ぶつけたりした外傷の既往がなくても、痛みや腫脹が数週間〜長期間に渡って持続し、熱感や発赤などが起こります。いずれの場合も、症状が出にくいことが多く、症状が出る頃にはすでに進行しており、悪性の場合は症状に気付いたときにはすでに多臓器に転移しているということもあります。

原発性骨腫瘍の多くは、良性、悪性とも10~20代の小児期から思春期に発症し、好発部位は長管骨(上腕骨、橈骨、尺骨、大腿骨、脛骨、腓骨)の中でも細胞増殖が活発な骨幹端部です。

引用:まる整骨院

軟部腫瘍の主な症状

軟部腫瘍の症状は発生部位によって、大きく異なってきます。

良性、悪性共に無痛性が多く、有痛性となるのは血管腫や神経鞘腫など良性の一部腫瘍、腫瘍が大きくなり神経・血管を巻き込んだ悪性腫瘍の場合などです。

代表的な良性の軟部腫瘍で見ていくと、脂肪腫は無痛性の柔らかく弾力のある腫瘤、血管腫は血流がうっ滞すると血流障害により痛みを伴う柔らかい腫瘤、グロムス腫瘍は指の先に限局した激痛を伴う冷えたときに増悪する腫瘤、神経鞘腫は神経痛を伴う小さな腫瘤などがあります。

代表的な悪性の軟部腫瘍で見ていくと、脂肪肉腫は無痛性の柔らかく弾力のある腫瘤ですが、時に神経・血管を巻き込むと有痛性の腫瘤、滑膜肉腫は無痛性の軽度圧痛を伴う腫瘤、横紋筋種は無痛性の眼窩周囲に起きやすい腫瘤、平滑筋肉腫は深部に起きる無痛性の腫瘤、未分化多形肉腫は下肢で急速に増大する柔らかい腫瘤などがあります。

骨・軟部腫瘍の自己診断チェック

医療機関ですら判断を迷うものを自己診断するというのは非常に難しいですし危険です。
しかし、特徴として”悪性らしさ”というものはあるので参考にしてください。

悪性骨腫瘍のチェックリスト

  • ぶつけた記憶がないのに骨の痛みが続く
  • 骨が隆起していて左右差がある
  • 長期間に渡り熱感や発赤が続く

悪性軟部腫瘍のチェックリスト

  • 大きい(5cm以上)
  • 深在性(表在筋膜より深いところ、筋肉内や筋間などに局在するもの)
  • 増大速度が速い(月単位で急速に増大)
  • 無痛

これらがないからと言って良性というわけではありませんし、逆にこれらがあるから悪性というわけでもありません。ただ、これらの特徴に当てはまるものがあれば、出来るだけ早期に整形外科を受診してください。

焦って、夜間の救急の時間帯に行っても日中と同等のクオリティでの検査は困難であり、何科の医師が当直しているかも分かりません。そのため、日中の外来を行なっている時間帯に整形外科を受診してください。あらかじめ電話にて受診可能か相談とすると、より確実でしょう。

検診と検査項目

冒頭で述べたように骨・軟部腫瘍の検診というものはありません。実際に整形外科を受診し、骨・軟部腫瘍が疑われると診察と画像検査が行われます。整形外科の中でも腫瘍は専門化された分野であるため、良性か悪性か判断がつかない場合は、専門病院を紹介されることも多々ありますし、何より悪性のものを良性とアンダートリアージしないことが大切です。

骨・軟部腫瘍の診察方法

診察では、局所の触診にて腫脹や痛みの確認を行います。画像検査では、骨腫瘍では基本的には疼痛・腫脹部位に一致した部位に変化がないかレントゲン検査が簡便で有用とされています。レントゲン検査で診断困難、また腫瘍性病変が疑われる際には、CT、MRI、骨シンチグラフィ、FDG-PET、血液検査などに進むことになります。

軟部腫瘍では、レントゲンでは軟部組織は薄くシルエットでしか見ることが出来ないので、触診の後、超音波検査やCT、MRIが基本となります。軟部腫瘍に関しては、性状や位置関係の把握にMRIが非常に有用とされています。それらでも診断が困難で、腫瘍性病変が疑われる際にはFDG-PETなどが追加検査されることがあります。

生検について

次に腫瘍性病変の場合で選択されるのが、生検です。

骨腫瘍では、良性か悪性かの判断が必要な場合、軟部腫瘍では脂肪腫、血管腫、神経鞘腫以外の腫瘍で確定診断が必要な場合に、生検をして病理組織診断が必要となります。小さな軟部腫瘍では、診断を兼ねて切除生検が行われることがありますが、原則悪性を否定できないときは専門病院での検査が必要です。というのも、悪性の場合、生検によって腫瘍が周囲に広がってしまう可能性や取り残してしまう可能性があるからです。

良性軟部腫瘍では経過観察となることも多いですが、悪性軟部腫瘍では手術による切除が基本となります。

『痛みがないから、そのままにしていました』と言って、切除困難なほどに大きなコブになってから来られる方もおられました。悪性のものは特に周りの組織を巻き込みながら成長していくことが多いため、手術での切除範囲が広範になったり、神経や血管を犠牲にしないといけないこともあったりするため、気になるシコリがあれば痛みがなくても、一度整形外科にご相談ください。

骨・軟部腫瘍の疑いから確定診断まで

骨腫瘍では、レントゲン検査の画像所見が有用かつ重要です。レントゲン検査にて腫瘍性病変が疑われる際には、追加検査を行います。

追加検査として、CT、MRI、骨シンチグラフィ、FDG-PET、血液検査などが行われます。血液検査では、骨代謝マーカーであるALPやLDH、炎症反応を示すCRP、腫瘍マーカーなどを調べます。

そこでさらに腫瘍が疑われる際には良性か悪性かの判断を行うために、生検を行います。生検は痛みを伴う侵襲的な検査なので、レントゲンなどの検査より先に行われることは原則ありません。生検は小さなものであれば外来の診察室で行うこともありますが、手術室で行うことが多いです。生検による病理組織診断の結果で、腫瘍の種類が良性なのか悪性なのか確定診断できれば、その後の方針を決めていくこととなります。

軟部腫瘍では、多くは最初にMRI検査をして、腫瘍病変が疑われれば追加検査でレントゲンやCT、超音波検査、タリウムシンチグラフィ、FDG-PET、遺伝子検査などが行われます。画像診断にてある程度の目星はつきますが、確定診断には生検か手術療法が必要となります。生検・手術で腫瘍性病変を穿刺・摘出し、それを病理組織診断して確定診断となります。その結果により、その後の治療方針を決定します。

検査に掛かる費用

検査は基本的に、健康保険の適応なので、大半は3割の自己負担であり、年齢や所得によって2割負担、1割負担となります。初診、再診によっても変わってきますし、検査代のほかに診察料、処方箋料なども追加されるので一概に1回の診察での負担額は出せません。また、検査もフィルム枚数、部位、範囲、造影剤の有無などで変わってきます。そのため、以下は参考程度としてください。

 

参考文献

  • 日本整形外科学会骨・軟部腫瘍委員会:全国骨腫瘍登録一覧表、国立がん研究センター,東京,2013軟部腫瘍ガイドライン2102病気がみえるvol.11 運動器・整形外科WHO Classification of Tumours of Soft Tissue and Bone. Fourth Edition
記事内容の修正に関する報告
紹介:
関東甲信越で日々、三次救急病院にて外傷整形外科、スポーツ整形外科を中心に、手術・外来・救急対応を行なっている。SNSでは医療知識、労働環境改善、予防医学、筋トレ、ダイエットなどについて発信している。