ベルケイドが適応となるガンの種類と治療効果・副作用一覧

ベルケイドとは、新たな治療薬・治療法のニーズが高かったのにもかかわらず長年新薬が開発されなかった多発性骨髄腫において、ベルケイドの開発によって大きな変革をもたらし、2006年度に製薬界のノーベル賞とも呼ばれる国際プリ・ガリアン賞を獲得した薬です。

どのようにして効くのか?副作用はあるのか?という疑問を持たれる方も少なくありません。

このページではベルケイドについて主な作用や治療効果などを詳しくご紹介しますので、参考にしていただければと思います。

ベルケイド(一般名:ボルテゾミブ)とは

ベルケイドとは分子標的薬と呼ばれる薬の一種で、アメリカのミレニアム・ファーマシューティカル社により合成された世界初の『プロテアソーム阻害作用』をもつ抗がん剤です。

イギリスやドイツをはじめ110以上の国と地域で承認されており、日本では2006年12月に承認され、希少疾病用医薬品として指定されました。

ベルケイドが適応となるがんの種類

ベルケイドは注射にて投与されます。通常注射薬は静脈の中に注入しますが、治療効果が変わらなく副作用が軽減される点から皮下投与(皮膚と筋肉の間にある皮膚組織に注射)が可能になりました。

適応となるがんの種類としては、下記の通りです。

  • 多発性骨髄腫(未治療、再発・難治性)
  • マントル細胞リンパ腫
  • 原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫

適応症によって用法が異なります。

未治療の多発性骨髄腫
他の抗がん剤と併用して1日1回1、4、8、11、22、25、29、32日目に投与し、10日間(33~42日目)休薬します。
この6週間を1クールとして4サイクルまで投与を繰り返し、5サイクル以降は1日1回1、8、22、29日目に静脈内または皮下投与し、13日間(30~42日目)休薬します。この6週間を1サイクルとし、9サイクルまで投与を繰り返します。
再発または難治性の多発性骨髄腫
1日1回週に2回1、4、8、11日目に静脈内投与し、10日間(12~21日目)休薬します。この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返します。
8サイクルを超える場合は上記の用法用量で投与を継続するか、維持療法(がんの再発、進行防止)として週1回4週間(1、8、15、22日目)静脈内または皮下投与し、13日間(23~35日目)休薬します。この5週間を1サイクルとし、投与を繰り返します。
マントル細胞リンパ腫
他の抗がん剤と併用して1日1回1、4、8、11日目に静脈内投与したあと10日間(12~21日目)休薬します。
この3週間を1サイクルとし、6サイクルまで(6サイクル目に初めて効果が見られたときは8サイクルまで)投与を繰り返します。
原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫
1日1回1、4、8、11日目に静脈内または皮下投与した後、10日間(12~21日目)休薬します。この3週間を1サイクルとし、投与を繰り返します。
またそれぞれ最低72時間空けて投与することとなっています。投与対象となる患者さんについては以下の2項目を満たす場合に投与できます。

  • 胸部画像検査(胸部X線検査、胸部CT検査)にて異常がない
  • 重篤な合併症(活動性の感染症、肺機能障害、心機能障害など)またはその疑いがない

ベルケイドに期待される治療効果

ベルケイドは分子標的薬であり、その標的は『26Sプロテアソーム』です。

プロテアソームとは細胞内にあるタンパク質を分解する酵素で、細胞周期・免疫反応・シグナル伝達といった様々な働きに関わります。

プロテアソームの作用を邪魔することで不要なタンパク質が分解されなくなり、がん細胞のシグナル伝達などが伝わらなくなることによってがん細胞が分裂できなくなり、細胞が自滅します。この働きによって特に多発性骨髄腫では進行を抑え、遅らせることが可能になりました。

またがん細胞はシグナル伝達や細胞周期に関わるタンパク質の産生異常がみられるため、プロテアソーム阻害薬は正常な細胞よりもがん細胞に反応しやすいといわれています。

使用実績

多発性骨髄腫において、ベルケイド単剤では約30~40%の奏効率(その治療をした後、がん細胞がどのくらい縮小または消滅したかを示したもの)となっており、そのうち4~5%は完全にがん細胞が消滅したといわれています。

さらに他の抗がん剤と併用した場合、72.4%の奏効率を示しました。奏効率が20%以上で効果があるとされるので、ベルケイドの使用により良い効果が期待されると考えられています。

主な副作用と発現時期

ベルケイドによくみられる副作用として、血小板減少、白血球減少、好中球減少、貧血、食欲不振、皮下投与による局所注射部位反応(かゆみや赤み)、下痢、発疹、嘔吐などがあります。

重大な副作用

肺障害、心障害、末梢神経障害、骨髄抑制、イレウス、肝機能障害、低血圧、腫瘍崩壊症候群、皮膚粘膜眼症候群、可逆性後白質脳症症候群、進行性多巣性白質脳症、間質性肺炎

などがあります。

またプロテアソーム阻害薬に必ずみられる副作用に『末梢神経障害』があります。神経細胞に作用することが原因と考えられており、投与後3~4サイクル目から約20%の患者さんにあらわれることが問題とされています。

静脈注射より皮下投与のほうが治療効果が同じで発現率が低いとのデータがありますが、全く起こらないわけではありません。ほとんどは休薬や薬の量を減らすことで症状の悪化を防ぐことができますが、重症化すると治りにくい可能性があるため、早期発見が非常に重要です。

ベルケイドの安全性と使用上の注意

安全性

知識と治療経験が豊富な専門医のもとで治療の初期は入院して治療をうけるため、治療を受けられる医療機関は限定されています。

使用上の注意

ボルテゾミブ、マンニトール、ホウ素に対して過敏症の既往歴のある方には投与しないこととなっています。

また間質性肺炎、肺線維症などの肺障害のある方、肝障害のある方、高齢者へは慎重に投与することとなっています。

  1. ベルケイドを投与中、めまいや失神、起立性低血圧、かすみ眼などがあらわれることがあります。投与中は高所での作業や自動車の運転など危険を伴うような機械を操作するときには注意してください。
  2. 好中球減少や貧血などの血液異常があらわれやすいため、毎回投与前に血液検査が行われます。
  3. 胎児に悪影響を及ぼす可能性があるため、投与中は避妊を行ってください。

また母乳に移行する可能性があるため、ベルケイドを投与中は授乳を中止してください。

併用に注意すべき薬剤

以下の薬を併用した場合、ベルケイドの効き目を増減させる可能性があるため、併用注意となっています。

  • CYP3A4阻害剤(ケトコナゾール等)
  • CYP3A4誘導剤(リファンピシン等)

まとめ

末梢神経障害といった副作用は完全に予防することは難しく、しびれや痛みのような症状は患者さんご自身が訴えないと把握できない部分でもあります。

命にかかわることはほとんどありませんが、日常生活に支障をきたす可能性もあるため、投与中に少しでも違和感があれば重症化する前に遠慮せずにすぐ主治医や看護師に相談することをおすすめします。

指示通り正しく使用し、薬や病気についての正しい知識を得て不安を減らし、治療と向き合うことが大切です。

参考文献

記事内容の修正に関する報告
紹介:

東邦大学薬学部卒療護、薬局にて勤務。OTC・調剤実務により管理薬剤師を経て、現在は在宅にて医療・健康についての記事を執筆しています。