スチバーガが適応となるがんの種類と治療効果・副作用一覧

スチバーガについてご存知でしょうか?

スチバーガは抗がん剤で耐性(薬が効かなくなること)がついたがん(大腸がん、切除不能な肝細胞がん)に対して初の治療薬として開発された薬です。
どういうがんに使えるのか?今までの抗がん剤と何が違うのか?という疑問を持たれる方も少なくありません。

このページではスチバーガについて主な作用や治療効果などを詳しくご紹介しますので、参考にしていただければと思います。

スチバーガ(一般名:レゴラフェニブ)とは

スチバーガとはドイツのバイエル社で開発された分子標的薬の一つで、キナーゼ阻害薬とよばれます。また、作用の違う複数のキナーゼに作用することから『マルチキナーゼ阻害薬』とも呼ばれています。

2005年から臨床開発され、転移しやすいといわれる大腸がんの3次治療(化学療法と分子標的薬を組み合わせた治療法で、耐性が起こった場合に1次、2次、3次と薬を変えて治療を続けること)以降に有効性が見られる薬として現在も開発に力を入れています。また1次治療、2次治療の使用については有効性・安全性は確立していません。

また似たような働きをする薬でネクサバール(一般名:ソラフェニブ)がありますが、ネクサバールは切除不能な肝細胞がんの第一選択薬として使用され、耐性がついた場合にスチバーガに切り替えて治療をします。

スチバーガは1日1回経口投与にて服用します。

スチバーガが適応となるがんの種類

  • 治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん
  • がん化学療法後に憎悪した消化管間質腫瘍
  • がん化学療法後に憎悪した切除不能な肝細胞がん

がん化学療法後というのは、消化管間質腫瘍においてはイマチニブ(商品名:グリベック)またはスニチニブ(商品名:スーテント)、肝細胞がんにおいてはソラフェニブ(商品名:ネクサバール)での治療後、耐性がついて効果が見られなくなったり副作用などで服用できない状態やがんの進行が見られた状態をあらわします。

スチバーガに期待される治療効果

がん細胞が増えるためには必要な伝達(シグナル伝達)において、キナーゼとよばれる酵素の活性が必要とされています。異常なキナーゼが存在すると無秩序に細胞が増えていき、正常な細胞を攻撃します。

またがん細胞自身に栄養や酸素を供給できる血管が必要であり、がんは成長や転移するにしたがって自ら新しい血管を作り出す(血管新生)のを促す物質(血管内皮細胞)を作り出すように働きかけたり、がんの形成・生存・転移には腫瘍微小環境(腫瘍組織の周りに存在する間質細胞、線維芽細胞、血管など)が大きく関わっていることもわかりました。

スチバーガはこのがん形成に関わるキナーゼ、血管新生に関わるキナーゼ、腫瘍微小環境に関わるキナーゼを阻害することでがん細胞の増殖に必要な信号をブロックし、がんの増殖・成長を抑えます。

またがんの中でも大腸がんは肝臓や肺に転移しやすいがんであり、がん細胞の増殖に複数のシグナル伝達経路が関係することがわかっています。そこで大腸がんの進行を確実に止めるには複数の伝達経路を阻害することが必要とされているので、様々なキナーゼを阻害するスチバーガが有効性が高いとされています。

主な副作用と発現時期

スチバーガによくみられる副作用として、手足症候群、中毒性表皮壊死融解症劇症肝炎、肝機能障害、出血、間質性肺疾患、血栓塞栓症、高血圧、可逆性後白質脳症、消化管穿孔、血小板減少があらわれます。

皮膚疾患が特に多くみられ、原因はまだはっきりと解明されていませんが、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)阻害薬に見られやすい特徴であり、皮膚に存在する血管内皮細胞を攻撃するからといわれています。

また服用してから早い時期で副作用があらわれやすい薬です。皮膚症状は2か月以内で起こりやすく、肝機能障害も服用してから早くて1週間以内でも現れる可能性があります。白目や皮膚が黄色くなる、吐き気、嘔吐といった症状がみられる場合、すぐに医師の診察を受けましょう。

スチバーガの安全性と使用上の注意

安全性

スチバーガは緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験をもつ医師のもとでスチバーガの投与が適切と判断される症例についてのみ投与することとなっています。また治療開始前に治療を受けられる方またはご家族にスチバーガの有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与することとなっています。

使用上の注意

重度の肝機能障害のある方、高血圧症の方、脳転移のある方、血栓塞栓症またはその既往歴のある方、高齢者、妊婦または妊娠している可能性のある方へは症状が悪化する可能性もあるため、慎重に投与することとなっています。

  1. 空腹時、高脂肪食(目安として約900~1000kcal、脂肪含量50~60%)の食後に服用すると薬の吸収が低下するため、空腹時または高脂肪食の1時間前から食後2時間までの間は服用を避けてください。
  2. 血管新生という働きは体が傷跡を治そうとするのに必要な働きですが、スチバーガはこれを阻害するために傷の治りを遅らせる可能性があります。スチバーガ投与中に抜歯または手術が必要な場合は、少なくとも手術を行う2週間前から休薬しなければなりません。
  3. スチバーガは1日1回服用を3週間繰り返し、1週間休薬を1サイクルとして投与を繰り返します。飲み忘れ等があっても、休薬中は服用しないようにしてください。また飲み忘れた場合、気づいたときに1回分を飲み、絶対に2回分を一度に飲まないでください。
  4. 副作用の早期発見のために服用ダイアリー手帳があります。皮膚疾患や肝機能障害、高血圧といった副作用は、スチバーガを飲む量を一時的に減らしたり休止したり症状を抑える薬を使うことで症状を和らげることができます。起こった状況、程度を記入して重症化するのを予防しましょう。

併用に注意すべき薬剤

以下の薬を併用した場合、併用薬の効き目を増減させてしまう可能性があるため、併用注意となっています。

  • CYP3A4誘導薬(リファンピシン等)
  • CYP3A4阻害薬(ケトコナゾール等)
  • イリノテカン
  • BCRP(薬剤排出にかかわるタンパク質)の基質となる薬(ロスバスタチン等)
  • グレープフルーツ、グレープフルーツジュース
  • セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)を含む食品

まとめ

抗がん剤治療は有効性が高い治療です。しかしながら耐性がつくこともあり、使える治療薬がなくなったらどうしよう という不安感をもたれる方も多くいらっしゃいます。

スチバーガのように耐性のついたがんに使える薬の開発によって、今まで耐性がついて諦めていたがんの治療にも大きな希望をもたらすことができるようになりました。すべてのがんに使えるわけではありませんが、治療法がなかった患者さんが前向きに治療できるような薬の開発が進むことを願うばかりです。

指示通り正しく服用し、薬や病気についての正しい知識を得て治療と向き合うことが大切です。

参考文献

記事内容の修正に関する報告
紹介:

東邦大学薬学部卒療護、薬局にて勤務。OTC・調剤実務により管理薬剤師を経て、現在は在宅にて医療・健康についての記事を執筆しています。