オキサリプラチンが適応となるガンの種類と治療効果・副作用一覧

オキサリプラチンは白金製剤と呼ばれる抗がん剤のうちの一つです。

白金製剤は進行した固形のがん(白血病やリンパ腫など血液系のがん以外のがん)や他の抗がん剤に対して耐性をもったがんに対しても効果が出るといわれる薬で、がん治療の中で重要視されている薬です。

他の抗がん剤と何が違うのか?効果が高いぶん副作用も出やすいのではないか?といった疑問を持たれる方も少なくありません。

以下にオキサリプラチンについて主な作用や治療効果などを詳しくご紹介しますので、参考にしていただければと思います。

オキサリプラチン(商品名:エルプラット|後発品:オキサリプラチン)とは

オキサリプラチンとは1970年代に日本で合成された、新しい白金製剤の抗がん剤です。
白金製剤とは、その名の通り薬剤の構造中に指輪などで使用される白金(プラチナ)を含むので白金製剤と呼ばれます。

日本人研究者(喜谷喜徳)らによって合成され、フランスのマッセイらによって臨床開発されました。

1997年に株式会社ヤクルトが開発権を取得し、2009年にエルプラット点滴静注液の商品名で製造販売承認が得られました。その後多くのジェネリック医薬品も開発されています。

結腸・直腸がん(大腸がん)の多い欧米では、治療の中心的薬剤となっています。

オキサリプラチンが適応となるがんの種類

オキサリプラチンは点滴による静脈注射にて使用されます。
適応となるがんの種類としては下記の通りです。

  • 治癒切除不能な進行再発の結腸、直腸がん(大腸がん)
  • 結腸がんにおける術後補助化学療法
  • 治癒切除不能な膵がん
  • 胃がん
  • 小腸がん

また、オキサリプラチンは単独ではなく他の抗がん剤と一緒に使われます。

オキサリプラチンに期待される治療効果

がん細胞が増えるには遺伝情報を持つDNAの複製が必要とされています。白金製剤はがん細胞内に入ると活性化し、DNA内やDNA同士に架橋(橋渡し)を作って結合してDNAの複製を邪魔することでがん細胞の増殖を抑えたり、がん細胞の自滅(アポトーシス)を誘導します。

白金製剤は数種類あり、オキサリプラチンは他の白金製剤と比べて作用は同じですが、構造が異なるため今まで白金製剤には適応がなかった大腸がんに適応されるようになりました。

またこれまでの白金製剤は腎臓にダメージを与えるため腎臓の負担を減らす目的で大量の輸液が必要で入院しなければなりませんでしたが、オキサリプラチンは腎臓へのダメージが少ないことからその必要がなくなり、外来で治療できるようになりました。

主な副作用と発現時期

オキサリプラチンは末梢神経障害という特有の副作用があり、急性期(投与直後から1週間程度続く)と蓄積性(通常8コース後もしくは4か月後付近で、総投与量が800mg/m²以上)の2つのタイプに分けられます。

急性期では投与直後から5日以内に手足・口のしびれや喉のかゆみ、声のかすれといった感覚異常があらわれ、特に冷たい空気や物に触れることで症状が起こりやすく悪化しやすいです。しかし数日で改善することが多く、ほとんど大きな問題になりません。

蓄積性では徐々に手足の先がしびれ、不快感や痛みといった症状が現れます。しびれがひどくなると字が書きにくかったり物をつかみにくくなったりと、細かい作業をしづらくなり日常生活に支障をきたす恐れがあります。ほとんどの場合投与を中止することで症状は回復しますが、数か月かかることもあります。また蓄積性の場合は急性期と違い、冷たさとは関係なしに症状が現れます。発現率として、45.5%の方に末梢神経症状が出やすいといわれています。

その他の副作用として、白血球減少(48.9%)、好中球減少(42.7%)、ショック・アナフィラキシー(2.0%)、間質性肺炎(0.26%)、骨髄機能抑制、溶血性尿毒症症候群、悪心・嘔吐、食欲不振などがあります。

また投与後数分以内に発疹、かゆみ、気管支痙攣、呼吸困難、血圧低下などを伴うショック、アナフィラキシー様反応が現れることがあります。過敏症状(気管支痙攣、呼吸困難、血圧低下など)が現れた場合、すぐに投与を中止して適切な処置を行い、回復後は再投与しません。

またオキサリプラチンは症状によって併用する薬が異なるため、オキサリプラチンの副作用だけではなく併用する薬の副作用も併せて考慮する必要があります。

エルプラットの安全性と使用上の注意

安全性

オキサリプラチンを含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん療法に十分な知識・経験をもつ医師のもとでオキサリプラチンが適切と判断される症例についてのみ使用することとなっています。

また、機能障害を伴う重度の感覚異常または知覚不全(手指のしびれなどの末梢神経障害)のある方、オキサリプラチンや他の白金を含む薬剤に対して過敏症のある方、妊婦または妊娠している可能性のある方へは投与しないこととなっています。

使用上の注意

骨髄抑制のある方、感覚異常または知覚不全のある方、重篤な腎機能障害のある方、心疾患のある方、感染症を合併している方、水痘の方、高齢者、小児への投与は症状が悪化する可能性があるため、慎重に投与することとなっています。

  1. 骨髄機能抑制(発熱、血が止まりにくい、だるさなど)がおこることがあるため、異常がないか速やかに処置・対するために定期的に血液検査・肝機能検査・腎機能検査などを行います。
  2. 治療期間中は冷たい食べ物や飲み物を避け、冷気や冷たいものに触れないようにしてください。体や皮膚を冷やすことによって手足やくちびるのしびれなどが出やすくなります。
  3. 乳汁中へ移行する可能性がありますので、投与中は授乳を避けてください。
  4. 悪心、嘔吐、食欲不振などの消化器症状がほとんどの方に出やすいため、経過観察し、適切な処置をとることがあります。
  5. 投与前24時間以内に必ず末梢血液検査を行います。治療前に手がしびれて字が書きにくい、足がしびれて歩きにくい、物を飲み込みにくいといった症状が1つでも出ている場合、投与を中止するか回復が確認されるまで投与を延期することがあります。

まとめ

日本では欧米食が増えているため、大腸がん患者が増えてきています。そのため、オキサリプラチンの使用量は年々増加しています。

白金製剤は鋭い効果を示す反面、副作用も出やすい薬です。しかしながら抗がん剤の治療には欠かせない薬で、現在でも白金製剤の開発研究は行われています。正しい使い方と適切な経過観察・処置をすれば怖い薬ではありません。正しい作用、薬・症状の知識を得て、治療と向き合うことが大切です。

参考文献

記事内容の修正に関する報告
紹介:

東邦大学薬学部卒療護、薬局にて勤務。OTC・調剤実務により管理薬剤師を経て、現在は在宅にて医療・健康についての記事を執筆しています。