オプジーボが適応となるがんの種類と治療効果・副作用一覧

オプジーボという抗がん剤にどのようなイメージをお持ちですか?

新しいタイプの抗がん剤として販売され、その作用効果から“夢の薬”“奇跡の薬”とも呼ばれており、研究・開発の第一人者である京都大学特別教授の本庶佑氏が2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞したことで、近年では医療業界のみならず世間にも広く知られるようになった医薬品です。

しかし抗がん剤であることに変わりはなく、副作用や注意事項などのリスク面も無視してはいけません。

このページでは、夢の薬と言われるオプジーボについて作用効果・適応となるがんの種類なども含めて詳しく解説していきましょう。

オプジーボ(一般名:ニボルマブ)とは

オプジーボは、2014年9月に小野薬品工業から販売が開始されている抗がん剤で、開発から実用化・販売までに20年以上の歳月をかけた製品になります。

抗がん剤の中でも免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる薬剤であり、特定の分子を標的とする分子標的治療薬に分類されています。従来のがん細胞を直接攻撃する抗がん剤とは異なり、ヒトが本来持つ免疫力を活性化することでがん細胞を攻撃する作用があり、「がん免疫療法」として用いられています。

一般的な用法は2週間間隔で点滴静注していきます。2019年現在、1年間使用した場合の費用が1000万円を超えるほど、非常に高額な薬価な薬剤ですが、高額療養費制度を利用すれば、年間60万円ほどに抑えることができます

オプジーボが適応となるがんの種類

日本国内で使用が適応・承認されている癌

2019年現在、国内で使用が適応・承認されているものは、悪性黒色腫(メラノーマ)・悪性黒色腫(メラノーマ)の術後補助療法・非小細胞肺がん・腎臓がん・胃がん・ホジキンリンパ腫・頭頚部がん・悪性胸膜中皮腫になりますが、ほとんどが再発または難治性、切除不能であるものが対象になります。

今後適応・承認が期待される癌

使用実績・有効性・安全性に基づいて適応は更新されていきます。日本では安全性を優先とするため承認に時間がかかり、しばしば海外とのドラッグラグ(承認の遅延)があります。

移行上皮がんの尿路上皮がん・小細胞肺がん・食道がん・肝臓がんなどへの使用は、アメリカなど海外では適応・承認されており、今後国内でも承認される可能性があります。

オプジーボに期待される治療効果

作用機序・効果効能

通常、がん細胞が体内にできるとT細胞という免疫細胞ががん細胞を攻撃し消滅してくれます。しかし、がん細胞は細胞表面にPD-L1と呼ばれる物質を作り出し、T細胞のPD-1と呼ばれる受容体に結び付くことで、T細胞の攻撃を無効化する作用をもっています。これによりがん細胞は無制限に増殖していくわけです。

オプジーボは、特異的にT細胞のPD-1と結合し、がん細胞がT細胞に結合するのを阻止する作用をもっています。これによりT細胞の攻撃力が回復し、自らの免疫力でがん細胞の消滅が期待できます。

このT細胞表面のPD-1受容体とがん細胞表面にあるPD-L1の発見、それらを利用したがん療法の開発を行ったのが、ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学特別教授の本庶佑氏になります。

治験・臨床結果など使用実績

悪性黒色腫(メラノーマ)・非小細胞がん・腎臓がんなどに対しての治験・臨床試験が国内外で行われており、高いがん細胞収縮効果・生存率の検査結果が報告されています。余命1年と診断された悪性黒色腫末期患者に対して投与したところ、3年後にがんが完全に消滅したとの国内治験データもあります。

しかし、オプジーボに限らず抗がん剤は効果作用・副作用発現に個人差が非常に生じます。また、発売からまだ間もなく使用実績が少ないこともあり、がんの種類によってはデータが不十分なものもあるのが現状になります。

主な副作用と発現時期

オプジーボは、直接がん細胞を攻撃すると同時に正常な細胞も攻撃してしまう従来の抗がん剤とは作用機序が全く異なることから、副作用は比較的に少ないとされています。しかし、それでも治験において対象の約70%に何らかの副作用症状がみられており、免疫に作用することで医師の予期せぬ、また見慣れない副作用が生じる可能性もあります。

主な副作用症状

特に発現率が高い副作用症状は、倦怠感・疲労感、痒み・発疹(アレルギー反応)、吐き気、食欲減退、下痢になります。多くは投与開始直後から1週目前後で現れ始め、1~2週間症状が続く場合があります。2~3週目より、脱毛・手足のしびれ・筋肉痛・耳鳴りなどの報告例が増えていきます。

注意すべき重大な副作用症状または疾患

重大な副作用として、間質性肺疾患・横紋筋融解症・心筋炎・筋炎・重症筋無力症・大腸炎・重度の下痢・1型糖尿病・血液障害・肝機能障害・肝炎・甲状腺機能障害・神経障害・腎機能障害・副腎機能障害・脳炎・重度の皮膚障害・眼障害・免疫力の低下による感染症などが現れる場合があります。

発現率は10%以下と高くはありませんが、検査等で発覚する疾患で、副作用症状の原因となる疾患も含まれています。高齢者・既往歴のある方・抗がん剤の多剤併用中の方・腎肝機能低下している方などは、しっかりと経過監査を行いながら投与する必要があります。

オプジーボの安全性と使用上の注意

安全性

安全性については様々な議論がされています。従来の抗がん剤と比較すると副作用が少ない点から、使用しやすいといった意見がある一方で、オプジーボによる免疫療法は、いわゆる最先端の治療であり、使用実績が少なく途中段階の臨床試験もあることから、有効性に加えて安全性も確立されていない部分が多くあります。

実際に、販売元である小野薬品が医療関係者向けに、使用の場合は緊急時に対応できる医療機関と医師、適切に判断できる場合に限定するようにとの注意を促しています。また臨床の場においても「辞め時がわからない」「併用薬がまだ不明なものが多い」といった声も少なくなく、第一選択薬で用いられることはほとんどありません。

使用上の注意(投与・併用)

具体的な疾患として自己免疫疾患(1型糖尿病・リウマチ・バセドウ病など)・間質性肺炎・臓器移植歴のある患者への投与は慎重に投与する必要があります。また、副作用の症状・疾患の発現リスクを高める恐れのある、喘息症状・循環器疾患(高血圧・心疾患・血管疾患など)・2型糖尿病・アレルギー・腎肝機能障害などを有する患者または予備群、既往歴のある患者への投与も注意が必要になります。また、高齢者・妊婦・授乳婦への投与は、安全性が確立していないため、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ投与可能とされています。

麻疹・風疹予防などに用いられる生ワクチン、インフルエンザ予防・日本脳炎などに用いられる不活化ワクチン、破傷風・ジフテリア予防などの用いられるトキソイド(弱毒性ワクチン)の投与は、T細胞の活性化による過度な免疫反応が現れる恐れもあるとして、併用注意に指定されています。

まとめ

オプジーボは、評価の低かった免疫療法のイメージを大きく変えた抗がん剤で、今後のがん治療の効果や概念を大きく変えることが期待されています。

しかし、がん治療は他の疾患とは異なり、作用効果と同じように、投与による生活の質の変化・リスクケアなども重要視しており、臨床試験や実績により使用状況や評価も変わっていきます。現在は、臨床データが少なく、適応となるがんも限定的であることから、使用に消極的な医療機関も少なくありません。また、開発者の本庶佑氏がノーベル賞を受賞したことで過度の期待を寄せる人も多く、混乱を招いたともされています。

使用には、患者自身が作用効果・副作用・使用実績など正しい情報をしっかりと把握し、判断することが大切になります。

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紹介:

実家は50年以上続く調剤薬局で、幼少期より働く父と母の背中を見て育つ。高校卒業後は、東京の大学の薬学部に入学する。卒業後は大阪・神戸・松山(愛媛)の調剤薬局で働き、経験を積む。その後、実家を継ぎ現在に至る。