メドロールが適応となるがんの種類と治療効果・副作用一覧

メドロールは合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)に分類される内服の薬剤です。ステロイドは炎症やアレルギー症状の改善、過度な免疫反応の抑制などに効果を示すため、メドロールも多くの疾患の治療に用いられています。

がんに対する治療としては、血液がんや悪性リンパ腫などに対し他の抗がん剤と組み合わせて治療が行われたり、乳がんや前立腺がんの対症療法(がんによる諸症状の緩和を目的とした治療方法です)として使用される薬剤となります。

このページでは抗がん剤「メドロール」について、治療ができるがんや副作用、使用上の注意点などについて詳しく解説していきますので、治療を検討されている方はぜひご覧ください。

メドロール(一般名:メチルプレドニゾロン)とは

メドロールが製剤化されたのは1957年のことであり、非常に歴史のある薬剤です。現在約50か国において承認されており、日本では2007年より販売されています。

メドロールが適応となるがんなどの種類

メドロールが日本において適応を持つがんは、「白血病」、「悪性リンパ腫」、「乳がん」、「前立腺がん」、「多発性骨髄腫」、「好酸性肉芽腫」となります。

いずれの適応疾患も内服による治療となり、投与量は1日4~48mgを1~4回に分割して投与します。

メドロールに期待される治療効果

メドロールは副腎皮質という部分で生成されているコルチゾールというホルモンを基に造られた薬剤で「ホルモン剤」というグループに属する抗がん剤となりますが、治療対象となるがんの種類によって期待される作用が異なるという特徴を持っています。

白血病や悪性リンパ腫の治療で期待される効果は「がん化したリンパ球の作用を抑える作用」で、がん化してしまったことで本来の働きをしないリンパ球の活性を弱めます。

また、乳がんや前立腺がんなどの治療に期待される効果は「がん細胞を増殖させるホルモンの働きを抑える作用」となります。

メドロールは他のステロイド剤(ヒドロコルチゾンやプレドニゾロン)と比較すると、リンパ球の減少作用などの効果は強く、副作用は少ないとされています。

主な副作用と発現時期

メドロールはステロイド剤として様々な疾患に広く効果を示すことが知られていますが、反面としてステロイド剤特有の副作用が現れます。抗がん剤治療を行う上で副作用はほとんどの方で起こるとされていますので、事前にどのような副作用が現れるかを把握し、ご自身の些細な変化を見逃すことなく直ぐに主治医の先生に相談し適切な処置を受ける事が、治療をより長く続ける事に繋がります。

ステロイド剤特有の主な副作用(頻度は不明とされています。)

  • 感染症の悪化
  • 発疹
  • 糖尿病
  • 食欲亢進
  • 体重増加
  • 満月様顔貌(ムーンフェイスとも呼ばれます)
  • むくみ
  • 緑内障
  • 頭蓋内圧亢進
  • 不眠

これら副作用の発現時期は、投与当日から投与初期にかけて多く報告されていますが、患者さんによっては投与開始から半年以上経過してから現れる方や投与終了後の方でも確認されています。

患者さん個人によって現れる時期や程度の重さが異なりますので、ご家族など身近な方にも必要に応じてサポートしてもらいながらご自身の変化を見逃さないように生活することをおすすめします。

メドロールの安全性と使用上の注意

メドロールの治療について、注意すべき点をまとめましたので参考にしてください。

治療できない患者さん

  • メドロールの成分に対して過敏症の既往歴がある患者さん
  • 生ワクチンや弱毒性ワクチン(乾燥BCGワクチンなど)を使用する予定のある患者さん

重要な基本的注意

  • メドロールを投与する事で感染症や副腎皮質機能不全、消化性潰瘍、糖尿病、精神障害などの重い副作用が現れる事がありますので、次の注意が必要となります。
    ・患者さんの症状を考慮し、他の治療法によって十分な効果が期待できる場合には投与は避けられます。
    ・投与中は副作用の兆候に十分注意し、患者さんはストレスと感じる事を避けるようにします。
    ・ステロイド剤は、投与を急に中止すると発熱や頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節通、ショックなどの症状が現れる場合がありますので、投与量を徐々に減らしながら中止する必要があります。
  • B型肝炎ウイルスキャリアの患者さんにメドロールを投与する事により、B型肝炎ウイルスが増殖し肝炎が現れる場合があります。投与中は定期的に肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのチェックを行い、症状の発現に注意する必要があります。
  • メドロール投与中に水痘や麻疹に感染すると命に関わる場合がありますので、次の注意が必要となります。
    ・メドロール投与前に水痘や麻疹の既往歴の確認や予防接種の有無が確認されます。
    ・水痘や麻疹の既往がない患者さんにおいては、水痘や麻疹の感染を防ぐよう常に配慮を行う必要があります。
    ・水痘や麻疹の既往歴がある患者さんや予防接種を受けている患者さんでも、メドロール投与中は水痘や麻疹を発症する可能性があります。

使用上の注意

  • 感染症のある患者さん:メドロールの免疫機能抑制効果の影響で、症状が悪化する可能性があります。
  • 糖尿病の患者さん:インスリンの作用を抑える作用がありますので、症状が悪化する可能性があります。
  • 骨粗しょう症の患者さん:骨形成を抑制しますので、症状が悪化する可能性があります。
  • 甲状腺機能が低下している患者さん、肝硬変のある患者さん:メドロールの代謝が阻害され、副作用が現れる可能性があります。
  • 脂肪肝、脂肪塞栓症の患者さん:脂質代謝に影響をあたえますので、症状が悪化する可能性があります。
  • 重症筋無力症の患者さん:使用当初一時的に症状が悪化する可能性があります。
  • 潰瘍性大腸炎の患者さん:炎症反応を抑制するので、潰瘍性大腸炎の兆候を隠蔽する恐れがあります。
  • 高齢者の患者さん:長期間の投与により、感染症や糖尿病、骨粗しょう症、高血圧症、白内障、緑内障等の副作用が現れやすいとされています。
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある患者さん:治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与されます。マウスに対する動物実験において、催奇形作用が報告されています。
  • 授乳中の患者さん:メドロールは母乳中へ移行する事があるため、投与中の授乳は避ける必要があります。
  • 小児の患者さん:発育抑制が現れる可能性がありますので、十分な観察が必要となります。

抗がん剤は、使用上の注意や副作用などをしっかり確認し、用法・用量を守って正しく使用する事で最大の効果を得る事が出来る薬剤です。

メドロールは様々な疾患において汎用されている万能薬と言っても良い薬剤ですが、反面長期間使用する事でさまざまな副作用が現れるとされており、特に体重増加やむくみなどの副作用対策として、投与中はカロリー制限食を取り入れるなど食生活に十分な配慮が必要となります。糖尿病を発症、または悪化させる可能性もありますので、バランスの良い食事を意識し、間食などは避けるようにしましょう。

今後メドロールの治療を検討されている方や、現在治療中の患者さんにとっても参考になれば幸いです。

参考文献

記事内容の修正に関する報告
  • 薬剤師
  • ma2
  • 専門:薬剤
紹介:

将来に迷っていた高校生の頃に身内が数人がんで亡くなる経験をしたことで、延命ではなく治癒できる抗がん剤を開発したいと考えるようになり、薬剤師を目指しました。 大学卒業後は製薬メーカーに薬剤師として勤務し、抗がん剤などの薬剤開発に約18年携わって参りました。 現在は、子育てをしながら医療系の執筆を中心に活動しており、今までの経験を生かして薬剤の正しい、新しい情報が患者様に届くように執筆しております