ブレオが適応となるがんの種類と治療効果・副作用一覧

みなさんは抗がん剤ブレオについて、どのくらいご存知でしょうか。
開発・発売から50年以上も経った抗がん剤でありながら、現在でも多くの現場で用いられており、様々ながん化学療法において高い有効性と信頼性を有する医薬品になります。増殖する細胞に対して作用する抗がん剤であるため、高い抗がん作用が期待できる一方で、副作用も高頻度で報告されているため、使用には十分な注意が必要になっていきます。

今回はブレオについて詳しく解りやすく解説していきましょう。

ブレオ(一般名:ブレオマイシン)とは

ブレオは、がん関連分野の大手企業である日本化薬株式会社が製造販売する抗がん剤で、国内では1969年より販売されています。

抗がん剤抗生物質(抗腫瘍性抗生物質)と呼ばれる薬剤に分類されており、有効成分ブレオマイシンは、日本の細菌学者・梅沢浜夫らにより、主に土壌などに含まれるストレプトマイセス属微生物と呼ばれる細菌の培養ろ液中から発見された化学物質より合成された化合物になります。

本剤は、WHO必須医薬品リスト(現代的な医療水準を保つために必須と考えられる医薬品)に収載されており、また長い使用実績の中で、エビデンス(臨床試験による科学的根拠)や多剤併用療法(他の抗がん剤との併用)などが確立しているため、現在でも多くの医療機関が採用しています。

剤形は注射剤のみで、がんの進行具合・患者の状況などに応じて静脈内・筋肉内・皮下・動脈内に投与されます。

ブレオが適応となるがんの種類

現在、プレオが適応となるがんの種類は、皮膚がん、頭頸部がん(上顎がん・舌がん・口唇がん・咽頭がん・喉頭がん・口腔がん等)、肺がん(特に原発性及び転移性扁平上皮がん)、食道がん、悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫・非ホジキンリンパ腫)、子宮頸がん、神経膠腫(グリオーマ)、甲状腺がん、胚細胞腫瘍(精巣腫瘍・卵巣腫瘍・性腺外腫瘍)になります。

初期から術後・再発のがんまで幅広く用いられますが、単独で用いられるよりは他の抗がん剤の併用薬として用いられる場合が一般的であり、PEB療法・JEB療法は胚細胞腫瘍の、ABVD療法は悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫)の第一選択薬または標準治療薬となっています。

PEB療法
シスプラチン(先発品ランダ)・エトポシド(先発品ラステット)・本剤の併用療法
JEB療法
カルボプラチン(先発品パラプラチン)・エトポシド・本剤の併用療法
ABVD療法
ドキソルビシン(先発品アドリアマイシン)・ビンブラスチン(先発品エクザール)・ダカルバジン(先発品ダカルバジン)・本剤の併用療法

ブレオに期待される治療効果

作用機序・効果効能

がん細胞も正常な細胞同様、増殖には遺伝情報を担う高分子生体物質「DNA」の生合成が必要になります。
ブレオは、DNAの合成を阻害する作用と、鎖状に構造されるDNAを切断する作用を有しており、DNA生合成を抑制させ、がん細胞の増殖を抑える効果があります。また、継続的に投与することによりアポトーシス(細胞の自然死)を誘導する効果も期待できます。

治験・臨床結果など使用実績

承認時、国内で行われたブレオ投与(単独及び多剤併用)による臨床試験で得られた各がん種別の奏効率(がん治療を実施した後に、がん細胞が縮小または消滅した患者の割合)は、皮膚がん57.4%・頭頸部がん55.6%・肺扁平上皮がん50.0%・食道がん70.6%・悪性リンパ腫73.8%・子宮頸がん57.1%・神経膠腫41%・甲状腺がん71.1%・胚細胞腫瘍53.3%となっており、評価の基準として奏効率が20%以上の場合に効果があるとされているため、いずれの対象に対しても高い有効性が確認できます。

1989年に再評価試験が行われており、多くの対象で承認時とほぼ同等の成績が得られています。皮膚がんや悪性リンパ腫などいくつかの対象では奏効率向上がみられており、多くの併用療法が確立され一般的になったことが要因とされます。

主な副作用と発現時期

ブレオは、その作用機序から高い抗がん作用が期待できる一方で、副作用が顕著に現れる薬剤になります。
副作用調査は、承認時臨床試験と市販後調査にて行われており、下記はそれら調査結果を合わせて算出した結果になります。

主な副作用症状

主な副作用に、皮膚の硬化・色素沈着40.6%、発熱・悪寒39.8%、脱毛29.5%、食欲不振・体重減少28.7%、倦怠感16.0%、嘔吐14.6%、口内炎13.3%、爪の変化11.2%などが報告されています。

ただ、前述のように本剤は併用療法に用いられることが多いため、併用する抗がん剤によって上記以外の副作用症状・検査値異常の発現が予想されます。

注意すべき重大な副作用症状または疾患

重大な副作用として、肺症状(間質性肺炎・肺線維症など)10.2%、ショック0.1%未満、出血(がん病巣が急速な壊死を起こすことによる)2%などが報告されています。

特に肺症状には注意が必要で、重篤な場合には死に至ることもあり、咳・労作性呼吸困難・副雑音(ラ音)などの症状が現れた場合は、投与を中止し適切な処置をすることとなっています。動脈血酸素分圧検査・胸部レントゲン検査などによる経過観察が投与初期から推進されます。

ブレオの安全性と使用上の注意

安全性

ブレオは、その副作用リスクにより決して投与による身体への負担は少なくなく、また多くが併用療法にて用いられるため、取り扱いにも注意が必要な薬剤になります。

しかし、抗がん剤治療では必ずしも「安全性の高さ=副作用の少なさ」ではなく、特に細胞障害作用を有する抗がん剤においては、ある程度副作用が現れる前提で考えている場合が多く、適した対策や対処法をとりながら、治療効果を高めていくことを重要視しています。

本剤の投与は緊急時に十分な対応ができる医療機関において化学療法に十分な経験をもつ医師の下で実施することとされており、また長い使用実績から多くの臨床データがあり、細かい経過観察やリスク管理を行うことができるため、、経験に基づく対策がなされている薬剤になります。

使用上の注意(投与・併用)

本剤の成分及び類似化合物(ぺプロマイシン)に対する過敏症の既往歴のある方、重篤な肝機能障害・胸部レントゲン写真上びまん性の線維化病変及び著明な病変を呈する方、重篤な腎機能障害のある方、重篤な心疾患のある方、胸部及びその周辺部への放射線照射を現在受けている方への投与は禁止されています。

また、肝障害の既往歴・合併症がある方、腎障害のある方、心疾患のある方、胸部に放射線照射を受けていた方、水痘患者、60歳以上の高齢者への投与は副作用が強く現れる場合があるため慎重投与とされています。

併用注意薬は、その他抗がん剤となっており、併用療法により副作用リスクが高くなるためになります。

まとめ

ブレオは、投与する側(医療機関)からすれば、使用実績が多く、投与継続するも中止するも判断がしやすく、あらゆる場合に対応できる薬剤です。また、幅広い適応・確立された多剤併用療法といった強みもあるため、今後も多くの臨床の場で長く用いられることが予想されます。

記事内容の修正に関する報告
紹介:

実家は50年以上続く調剤薬局で、幼少期より働く父と母の背中を見て育つ。高校卒業後は、東京の大学の薬学部に入学する。卒業後は大阪・神戸・松山(愛媛)の調剤薬局で働き、経験を積む。その後、実家を継ぎ現在に至る。