アリミデックスが適応となるがんの種類と治療効果・副作用一覧

皆さんはアリミデックスという抗がん剤について、どのくらいご存知ですか。
乳がん治療に用いられる抗がん剤の一つで、近年乳がんは患者数・罹患率ともに上昇していることもあり、多くの現場で用いられており、現在100ヵ国以上の国で承認を有している薬剤になります。

細胞を攻撃する従来の抗がん剤のような強い作用はありませんが、比較的投与が長期になる場合が多く、また特徴的な副作用もあるため、注意事項などしっかりと把握しておく必要があります。
このページではアリミデックスについて詳しく解りやすく解説していきます。

アリミデックス(一般名:アナストロゾール)とは

アリミデックスは、イギリスに本社を置く大手製薬企業アストラゼネカ社が製造販売する抗がん剤で、海外では1995年、国内では2001年より販売されています。アストラゼネカ日本法人が存在しているため、国内において医療用医薬品(処方箋医薬品)として一般に流通している医薬品になります。

本剤の有効成分アナストロゾールは、アロマターゼ阻害薬と呼ばれる薬剤に分類されており、それまでのアロマターゼ阻害薬よりも効果・安全性ともに高い化合物の探索の過程で開発されたものになります。作用が体内で分泌されるホルモンに関与する薬剤であるため、本剤を用いる治療はホルモン療法(内分泌療法)に該当しています。

剤形は錠剤のみで、1日1回経口投与を行っていきます。

アリミデックスが適応となるがんの種類

アリミデックスが適応となるがんの種類は、閉経後乳がんのみで、初期の進行抑制、術後の再発防止など、様々な用途で用いられます。乳がんの進行の原因となるホルモンの生成を抑制する薬剤であるため、他のがんに対しては有効性はありません。また、閉経前乳がんの進行にも同じホルモンが影響していますが、ホルモンが作られる場所が閉経前と後で異なっており、本剤は閉経前のホルモン生成過程には作用しないため効果がなく、適応外となります。

アリミデックスに期待される治療効果

作用機序・効果効能

乳房の生理作用は、“性ホルモン”であるエストロゲン(女性ホルモン)の作用によって維持されており、乳がんのがん細胞もエストロゲンの影響を受けて増殖していきます。エストロゲンは、閉経前は卵巣で生成されますが、閉経後は卵巣機能が衰えてしまうため、代わりにアロマターゼと呼ばれる酵素の働きにより、アンドロゲン(男性ホルモン)から変換されて生成されます。この過程によるエストロゲン生成が、閉経後乳がん進行の特有の原因になっています。

アリミデックスには、酵素アロマターゼの働きを選択的に阻害し、アンドロゲンからエストロゲンへの変換を抑える作用があり、閉経後乳がんに対する抗がん効果が期待できます。しかし、がん細胞に直接作用し死滅させるといった作用はないため、治療における位置づけは、あくまでも進行抑制・再発防止にとどまっているのが現状です。

治験・臨床結果など使用実績

アリミデックス(有効成分アナストロゾール)の臨床試験における有効性評価は、アリミデックス登場以前に閉経後乳がんのホルモン療法に多く用いられていた抗エストロゲン剤タモキシフェン[作用:エストロゲンががん細胞に作用するのを防ぐ、適応:乳がん(閉経前含む)]との比較試験にて行われています。

同条件下の閉経後乳がん患者を対象に行われたそれぞれの薬剤の単剤投与による比較試験において、得られた奏効率(がん治療を実施した後に、がん細胞が縮小または消滅した患者の割合)は、アナストロゾール群が45.5%、タモキシフェン群が35.0%で、再発・対側乳がん発生率はアナストロゾール群が18.4%、タモキシフェン群が20.9%となっています。いずれもアナストロゾール群に有効性が認められる数値となっており、アリミデックスが閉経後乳がんに対して優れた抗がん作用を有する薬剤であることを表しています。

主な副作用と発現時期

アリミデックスは、抗がん剤の代名詞ともいえる吐き気・倦怠感・脱毛といった副作用は極めて少ない薬剤になります。発現する副作用はホルモン製剤ならではのものになりますが、症状は軽度で、発現率も低いものが多く、副作用が治療効果に影響することはほとんどありません。

主な副作用症状

国内の臨床試験(承認時)及び使用実績調査における副作用発現率は全体で10.2%となっています。

主なものに、関節痛・肝機能検査値異常・ほてり・発疹・頭痛・倦怠感・感覚異常(味覚異常など)などがありますが、いずれも発現率は1.0%前後と低いものとなっています。原因はエストロゲン量の低下によるものがほとんどで、症状はいわゆる更年期障害時のものに似ています。投与開始直後が特に発現率が高くなりますが、時間の経過と共に体が慣れてくるため、症状は軽快していく場合が多くなります。

注意すべき重大な副作用症状または疾患

重大な副作用として、アナフィラキシーショック(血圧低下・呼吸困難・蕁麻疹など)、皮膚粘膜眼症候群(発熱・水疱など)、間質性肺炎、血栓塞栓症、骨粗しょう症、傾眠傾向、脱毛、性器出血、高コレステロール血症の報告例がありますが、いずれも発現率は0.1%~1.0%と非常に低いものになります。しかし、検査等で発覚する疾患が多く、放置することで重篤化する恐れもあるため注意が必要です。特に骨粗しょう症は、アロマターゼ阻害薬の特徴的副作用であり、服用開始後は定期的な骨密度測定を推進しています。

アリミデックスの安全性と使用上の注意

安全性

アリミデックスは、副作用の発現頻度も少なく、症状も軽く、また1日1回の内服剤であることもあり、身体への負担も軽く、無理なく継続できる薬剤になります。1日通常量の60倍もの過剰量を投与して行った忍容性試験(副作用がある前提となる薬剤に対し、副作用が耐えうる程度のものであるかなど安全性を評価する試験)においても、良好な結果が見られており、安全性の高さが証明されています。

使用上の注意(投与・併用)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方、妊娠または妊娠の可能性のある方、授乳中の方への投与は禁止されています。また、重度の肝障害・腎障害のある方、高齢者への投与は、安全性が確立しておらず、副作用が強く現れる場合もあるため慎重投与とされています。

併用禁忌薬及び注意薬となっている薬剤は現在のところありません。しかし、女性の更年期障害などに効果が期待できるとされるエストロゲンの効果を高める・エストロゲンに似た作用を有するサプリメントなどのように、併用により本剤の治療効果に少なからず影響を及ぼす恐れのあるものもあります。サプリメント・健康食品などを服用中である場合は、医師へ報告してください。

まとめ

アリミデックスは、作用も治療対象も限定的ではありますが、その分治療効果も安全性も高い、非常に優れた薬剤です。閉経後乳がんの初期段階や術後補助化学療法(再発防止)に対しては、第一選択薬として定着しており、今後も活用され続ける薬剤といえるでしょう。

参考文献

記事内容の修正に関する報告
紹介:

実家は50年以上続く調剤薬局で、幼少期より働く父と母の背中を見て育つ。高校卒業後は、東京の大学の薬学部に入学する。卒業後は大阪・神戸・松山(愛媛)の調剤薬局で働き、経験を積む。その後、実家を継ぎ現在に至る。