【連載】第3回 治療方法を決めるにあたって。

治療方法を決めるにあたって

第2回目の記事でも伝えましたが、保険診療のがん治療はすべて「がんの診療ガイドライン」に則って行います。ガイドラインで治療方法が決まるので保険診療である限り日本全国どこに行ってもほとんど同じ治療方法を伝えられることになります。

ただ、いろいろ例外もあるのでご紹介していきたいのですが、前提としてわかってないといけないことがあるので、先にそれを知っておいて欲しいです。

がん治療の種類

がん治療を大きく分けると局所治療全身治療の2つに分かれます。

局所治療とは手術、放射線などの一部分にしか効かない治療を指します。全身治療については、抗がん剤、ホルモン治療のように全身にする治療になります。

局所治療、全身治療の2つの違いが分かっていないとがん治療を選ぶことができません。

例えば、全身にがんが飛んでいるのに重粒子線などの局所的な放射線治療をしたとしても、必ず再発することになり根本治療にはなりえません。

全身治療の代わりに局所治療を選ぶというのは、根本的には間違っているということになります。

局所治療の代わりに違う治療を探す場合は局所治療を探すべきで、全身治療の代わりに治療を探すときは全身治療の治療を探す必要があります。
よって、抗がん剤(全身治療)の代わりに重粒子線(局所治療)という選択肢は同じ効果を求める場合はありえません。

患者様のよくある勘違い1

患者様の中には、インターネットなどでいろいろ調べて、手術や放射線をしないとがんが治らないと思っている人が多く、弊社にもそれに対する相談はすごく多いです。ただ、手術、放射線をすればがんを治せるわけではなく、治る可能性がある人だけが手術、放射線をするということがほとんどなので注意が必要です。

主治医に「手術が出来ません。抗がん剤治療しか方法がありません。」と言われて、手術をやってくれる先生を探されて弊社にも相談に来る患者様が多いです。ただし、仮に日本のどこかにガイドラインを無視してその状態でも手術をやってくれる医者がいたとしても、完治につながる訳ではなく、かえって寿命が縮まるという結果になることもあり得ます。

患者様のよくある勘違い2

世の中には夢の治療と言われている重粒子線や陽子線、アメリカの大統領が演説で話した光免疫治療、京都大学が長年取り組んできたホウ素中性子補足療法(BNCT)など最先端と呼ばれる治療方法が無数にあります。

手術が出来なくてもそういった治療を受ければ治るのではないかと治療を探している方が多いのです。ただし、基本的にはがんをなくすという意味では手術に勝る治療は存在しません。なぜならば、がんがある部位の臓器や周りの組織もごっそり取り除くという手術より優れた方法がある訳がないからです。

手術よりもがんを取り除くという治療成績よりかは落ちるけれども、体に優しい治療方法として重粒子線、陽子線、光免疫治療などが存在しています。体に優しい治療方法を選ぶことが結果として寿命が延びるというのはよくあることなので、そういう目的で選ぶのであればよいのですが、がんをなくす、つまり完治を目的として手術をやめてそういった治療方法を選ぶというのは難しいと思います。

患者様のよくある勘違い3

治療をすると必ず良くなると思って治療方法を探している患者様が多いですが、「治療することが必ずとも延命につながるとは限らない」です。

例えば胃がんが手術で治ったと言っている人がいたとしますが、がんが治ったというよりもがんと一緒に胃がなくなったという方が正しいです。手術には臓器不全を伴います。

臓器は必要なものです。無くなるのは良いわけがありません。がんが治る可能性があるなら臓器をとるという無茶をするのですが、治らないと分かっているのであれば「臓器を残しておいてあげた方が優しいよね」ということになります。
手術などは無理に手術をするとかえって寿命が縮まるということも多いです。抗がん剤も同様に同じことが言えます。そこはやはり主治医の判断に任せるということになります。

保険診療はするかしないかの二択

保険診療は基本的には国のお金を使ってする治療になります。なので、自分の好きな方法を選んでそれをしてもらうというのが出来ません。20年以上治験をして効果があったと思われる治療をもとにガイドラインを作り、そのガイドライン通りに治療をするのであれば国はお金を出しますというイメージです。

なので、「抗がん剤しかありません」と言われたら「保険診療では抗がん剤しかない」のです。それを他の治療を探してセカンドオピニオンを繰り返したところで抗がん剤以外の話は基本的には聞けません。

抗がん剤がどうしても嫌で、抗がん剤をどうしてもしたくなくて抗がん剤を断った場合、他の治療方法を示してくれることはありません。抗がん剤しか治療方法がないのですから、抗がん剤を断ると「治療を諦めた」との判断になり、緩和治療を勧められて今の病院を追い出されて終わります。

その治療をしないという選択肢は取れるのですが、ほかの治療という選択肢はないことが多いです。

保険外診療について

「こんなに医療が進んでいるのに、本当に抗がん剤しか治療方法がないのですか?」となるのですが、もちろんそんなことはありません。保険以外の治療も含めると沢山あります。

基本的には国のお金を使わない保険以外の治療に関しては自由に治療を組み立てることが出来ます。ただ、保険以外の治療となると法的には問題ないのですが、主治医の先生が医療的な責任をとるという話になります。
そんなリスクを負ってくれる医者がいるかどうかが問題になってきます。
それについては、日にちを変えて詳しく説明したいと思います(第7回 保険外診療(先端治療)の考え方)。

まとめ

基本的には保険診療については例外を除き選択肢はあまりなく、主治医の示してくれた治療方法をやるかやらないかの二択になることが多いです。他の治療方法は有ったとしても、主治医に相談しても、ガイドラインに外れるのでやってくれることはまずありませんし、相談にも乗ってくれないです。これの理由も後日詳しく書きます(第7回 保険外診療(先端治療)の考え方)。
主治医の示してくれた治療方法をやらないというと、基本的には病院を追い出されて終わります。よって、「治療をやらない」という選択肢は取ることが難しいです。

主治医が示した治療をやる以外の選択肢を取りづらいのが現状です。

がん治療を受ける患者様すべてに伝えたいこと

保険診療をやっている先生はガイドラインから外れるので保険外診療については、内容問わずすべて否定します。

ただ、ガイドライン通りにすべて治療を行ったとしても半数以上の方が亡くなるのががん治療です。それだけだとダメだと考えるのは患者様の立場としては当然だと思います。仮にすごく良いと思える治療方法に出会ったとしたら、それを受けたいと思うのは患者様の権利です。ただ、主治医の先生は保険で認められていない治療に対して自分は責任を負いたくないので「必ず反対します」。「そういう治療を受けるなら病院から出て行ってください」と平気で言います。
患者様の命がかかっているのですから、受けたいと思う治療があったときに医師の保身の為にその治療を諦めることになることが多いのが残念でなりません。

もちろん保身の為だけではなく、保険診療でやっている今の治療の効果に影響が出るかもしれないという懸念もあります。

仮に自分が医師だったとしたら、「国が認めていないどこかの誰かがする自分の知らない治療方法について、医師免許を持っている自分に同意を求めないで下さい」となると思います。「そんな意味の分からない治療方法に対して、自分をまきこまないで下さい」となるのはある意味当たり前の話です。

先生の立場からすると「その治療が良いかどうか分からないけど、自分は知らなかったって言わせてくれるならいいよ」、「自分の同意を求めないで自己責任でして欲しい」、「相談されたらダメという以外に言えない」というのが本音です。

自由診療を受けるのであれば、先生を意味の分からない治療に巻き込まないという先生に対しての配慮が必要な場合も多く、主治医の先生に内緒で受けるという選択肢を取る患者様も増えてきています。

第1回 がんかもしれないと思ったら

第2回 がんだと診断されたら

第4回 がんの再発予防の考え方

第5回 遠隔転移の再発はがんが見つかった時から決まっている。

第6回 がんが再発してしまったら。

第7回 治療方法がありませんと言われたら。

第8回 保険外診療(自由診療)の考え方

 

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