【がん代替医療の選び方】代替療法は本当に危険なのか?

補完代替医療という言葉をご存知でしょうか。がんの治療している方、またはそのご家族なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。代替医療に対する意見は幅広く、なんとなく信頼できないという人から、それだけを信じていくつも受けてみたという人までいます。

補完代替医療は、がん治療の既定路線ではありませんので主治医から提案されることはありませんが、メディアやインターネットなどで驚くほどの治療効果を宣伝されていることがあります。

代替医療に本当にそんなに効果はあるのか?危なくないの?などの疑問が浮かぶと思います。そこで今回は気になる補完代替医療についてご説明します。

補完代替療法って何?

代替医療(だいたいいりょう)や代替療法(だいたいりょうほう)とも言います。科学的に有効性が証明されておらず、既存のがん治療には活用されていない医療をまとめて代替医療と言います。大まかに、“健康保険が適用されていないもの”と考えるとイメージしやすいかもしれません。

代替医療の種類

代替医療にはその種類・方法が数多くあります。
大きく分けると以下のようになります。

  • 天然産物(ハーブ、ビタミン、ミネラルなどの栄養補助食品)
  • 心身医療(鍼灸、瞑想、ヨガなど)
  • 手技療法(マッサージなど)
  • その他(ピラティス、ホメオパシーなど)

代替医療のカテゴリーは多岐にわたるということがわかります。皆さまはどれくらいご存知ですか?なお、漢方薬は保険診療として認められ広く利用されており、代替医療ではないとされています。

代替医療のなかでは、健康食品やサプリメントなどの栄養補助食品が最も多く利用されており、ちまたでよく聞くアガリクスやプロポリスなどはこちらに含まれます。

データからみる代替医療

がん治療は、効果や副作用の軽減において徐々に進化してきました。しかしながら、まだまだ発展途上にある段階です。がんの改善には限界がありますし、副作用に苦しんでいる人がたくさんいます。何よりもがんは命を脅かす病気です。治すために何かできることがあれば手を尽くしたいと思うのは当然です。そんな、藁にもすがる思いから代替医療に関心をもつ人は少なくありません。

2005年に発表された「日本のがんの医療現場における補完代替医療の利用実態調査」によると、がん患者さんのおよそ2人に1人(44.6%)※が何かしらの代替医療を使っていることがわかりました。

その目的は、1位 がんの進行を止めるため(67.1%) 2位 治療(44.5%) 3位 症状緩和(27.1%)※ということです。

そもそも保険が効く標準治療でがんが治れば、基本的に代替医療を利用しないわけですから、通常の治療では改善できないレベルの患者さんが利用されているのかもしれません。実際、代替医療の利用頻度が高い人は、1日の半分以上を寝てすごす人・緩和ケア病棟の患者さんに多いということも同様の調査でわかっています。

そして、気になるのはその効果が出ているのかということでしょう。

利用している代替医療の効果を感じているかという質問には、70%の人が「わからない」と答えています。効果があったという人は22%※ですが、これは利用したメリットがあったと本人が感じているという意味で、実際にがんが小さくなったという意味ではないということです。検査で実際にがんが小さくなった人がいたとしても、それが代替医療の効果かはわからないということなのです。

その一方で、副作用については56%の人が無かったと回答しており、29%が分からない、10%が無回答となってます。副作用があるとしたのは5%※で、吐き気や嘔吐、下痢などの症状があったということです。

これらを見て皆様はどう思われるでしょうか。

※参考:厚生労働省がん研究助成金「がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究」班 がんの補完代替医療ガイドブック第3版

代替医療は効くの?危なくないの?

先ほど、代替医療の効果を実感しているかというデータを挙げましたが、保険診療として認められた治療や薬と違い、代替医療の多くはがんに対する効果や生存率などの比較試験が行われていません。データが十分ではないのです。

しかし「データがないイコール効かない」ということではありません。効果がないという証明もまた、なされていないわけです。代替医療には効果があるのかという点においては、今のところ「わからない」と答えるしかないのが現状です。

また、抗がん剤には植物の成分を応用しているものがあります。このような植物は民間療法や代替医療として古くからがんに効くとされていたものが少なくありません。よって、代替医療が全て危険だということは言えません。効果や危険性についてはまだ不明な部分が多く、患者さんの自己責任で使うしかないのです。

代替医療だけで良いのでしょうか?

稀に標準治療を回避し、代替医療だけを頼りにする人がいます。手術や放射線、抗がん剤はがんと闘ううえで大切な治療手段です。それは、たくさんのデータから証明された、今現在がんを叩くのに一番有効な方法だからです。

標準治療という選択肢があるにもかかわらず、代替医療だけを受けるというのは考え物です。代替医療に効果が見られなかったから、あとあと、やっぱり手術をしたいとなっても、時すでに遅し…手術で治る時期を逃してしまっているかもしれません。

もっとも効果が見込める通常の治療を軸に、あくまで代替医療はそれを補うものとして認識しておいた方が良いでしょう。

代替医療に対する心構え

代替医療の宣伝には「これでがんが治った!」「がん縮小率が驚異の○%」などと謳っているものがあります。とても目を引かれますね。

しかし、このような情報を鵜呑みにしてはいけません。客観的なデータではなかったり、他の治療と併用した効果だったり、読み手の勘違いを誘発したトリックがあるかもしれません。まずは疑ってかかるくらいの気持ちで冷静に判断しましょう。

さらに、日本人は「みんなやっている」という言葉に弱いところがあります。健康情報番組で放送されたから効くに違いないとか、売れている商品だから安心と思っても、それが自分のがんの改善に直結するとは限りません。判断を全て委ねてしまわないように、自分の状況と照らし合わせて慎重に選び取ってゆく姿勢が大切です。

利用するときの注意

主治医に内緒はNG

通常の治療に完治の見込みがなくなったときや、効果が出ないとき、代替医療を試してみたくなるかもしれません。しかし、治療に悪影響を与えかねない代替医療も存在します。特にサプリメントや健康食品などは注意が必要です。

抗がん剤の中には体内の代謝によって効果や副作用が出るものがあります。健康食品やサプリメントがその邪魔をしたり、代謝を促進したりすると、抗がん剤の効果が薄れたり副作用が強く出ることがあります。

代替医療の利用に関して、半数以上の患者さんが医師に相談しなかったという調査もあります。先生に言うと反対されるから、サプリメントぐらいなら影響はないだろうと考えるのかもしれませんが、医師に内緒で治療と代替医療を併用するのはやめましょう。

こんな代替医療は疑わしい

代替医療の良し悪しは簡単に判定できるものではありません。特に自分が納得ゆく形で利用できれば悪いものではないと思います。たとえ効果が出なかったとしても、標準治療の限界をむかえ、今後の治療の手立てがないという人も大勢いる中で、がんと闘う手段として代替医療は精神的な支えや希望となるからです。

しかし、代替医療の中にはそのような人の弱みに付け込むお金目的のものも存在します。がん治療における様々な局面で冷静な判断ができないとき、怪しい代替医療に騙されないよう、疑わしいと思われるものの基準をいくつか挙げてみます。

  • がんの原因は一つであり、唯一この治療によって治るというもの。
  • 他の治療(標準治療など)を否定しているもの。
  • その治療によるデメリット(副作用や効果が出ないとき)はないとしている。(良いことだけを主張する。)
  • これを使わないと治らない、使わないと、どんどん悪くなる、などと不安や恐怖心をあおっているもの。

このような主張や宣伝文句をしているものは避けたほう良いでしょう。家族に相談するなど、冷静になってもう一度吟味し直しましょう。

代替医療を始める前に

データや試験を基に選ばれる「標準治療」は信頼できるものですが、ひとりひとりの患者さんにとって、治療はそれだけでは決まらない部分もあると思います。

患者さんの意向や価値観、思想や信条がそこに存在するからです。

結局のところ、この場で代替医療の良し悪しを判定することはできませんが、もし代替医療を利用するとき大切なのは医師とコミュニケーションを図りながら自分にとっての代替医療の“良いとこどり”をしてゆくということに尽きるのではないでしょうか。

最後に、健康食品やサプリメントの成分などの情報が掲載された資料をご紹介します。今後の参考になさってください。

参考文献

  • 国立研究開発法人医薬基準・健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性情報」よりhttps://hfnet.nibiohn.go.jp/
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