自分にとって良い病院、良い主治医の見つけ方

医師と夫婦

がんに関わらず、病気の治療をするにあたって良い病院、良い先生にかかりたいと思うのは当然のことです。しかし、病院も医師もたくさんの選択肢がある中で、闇雲にそれらを求めれば探すだけで一苦労、貴重な時間を失ってしまいます。そもそも、その良いという基準も曖昧ではないでしょうか。

この記事ではがん治療における病院の役割や医師についてご紹介します。それらを知ることがご自身の価値観を認識し、より理想とするがん治療にたどり着く近道となると思います。

意外と知られていない病院の選び方

がん診療連携拠点病院とは

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引用:もっと知ってほしいがんと生活のこと

がん診療連携拠点病院という言葉をご存知でしょうか。

これは「がん医療の中心的な役割を担う病院」のことで2007年に制定されたがん対策基本法に基づき、各都道府県に1か所ずつ厚生労働省が認定している病院です。

さらに、二次医療圏という、都道府県よりもっと小さい単位で区切られた地域ごとに数か所の地域がん診療連携拠点病院があります。ですから、各都道府県に複数のがん診療連携拠点病院があるということになります。

厚生労働省のホームページ、がん診療連携拠点病院一覧はこちら

これらの病院は全国どこでも一律で質の高い医療を提供できるという厚生労働大臣のお墨付きを受けた病院ですが、具体的にはがん治療の三大柱といわれる手術・放射線・抗がん剤の治療体制が整っていて、治療を行ううえで一定の基準を満たしていると認められた病院です。加えて、患者さんやご家族の幅広い相談を受け付ける相談支援センターがあること、緩和療法を提供できる、地域の医療機関と連携がとれることなどの条件をクリアした病院です。

このような「がん診療連携拠点病院」が患者側から見てどのようなメリットがあるかというと、がんになったとき、いずれの病院でも同じレベルの治療が安心して受けられるということがあげられます。都会では進んだ治療が受けられて、地方ではそれが叶わないということがないわけです。

また、かかった医師によって治療方針のばらつきがないということも言えます。特に、胃がん、肺がん、大腸がん、肝臓がん、乳がんなどのように比較的症例が多いがんの場合は全国レベルの均てん化された治療、ひいては、健康保険が効く中で最善の治療を受けることができるわけです。

国立がんセンターがベストか?

全国にがん診療連携拠点病院があることはほとんど知られていません。それゆえ、ご自身、もしくはご家族ががんになったとき、多くの方が国立がんセンターにかかりたいとお思いになります。ご自身のお住まいの近くのがん診療連携拠点病院でも国立がんセンターと同じ治療が受けられるとしたら、それでも国立がんセンターに行きたいとお思いになりますか?

さらに国立がんセンターはそのネームバリューゆえに非常に多くの患者さんが訪れますので手術まで非常に長い日数がかかったり、診察待ちの時間が長かったりということがあるようです。

もう一つ、一概に国立がんセンターが良いと言えない理由があります。それは、がん治療は長期戦となることが多いということです。それゆえ無理せず長く通える病院を選ぶことが病院選びの大きなポイントとなります。

がんが進行している状態でみつかれば当然ですが、早期がんでも、検査、入院、術後の定期健診など幾度も通院します。薬を使った治療で副作用が出れば遠くの病院まで通うことが辛くなることもあるでしょう。それらのことを考えると国立がんセンターが一番良い選択とは限りません。

それ以外にどんな病院があるの?

では、ほかにどのような病院にかかればよいのでしょうか。

まず、がん診療連携拠点病院には○○県がんセンターや大学病院や総合病院なども含まれています。それらの病院でも同様の治療を行うことができます。数人の医師がチームを組んで取り組みますので、相性の良い医師が見つかるでしょうし、治療レベルも一定以上です。病院のホームページを活用し、ご自身のがん治療にふさわしい担当医を見つけることも可能です。

また、持病や合併症をもっている患者さんは大学病院などの総合病院が良いでしょう。がんセンターはがん専門病院ですので、がん以外の病気は得意ではありません。重度の糖尿病や心臓病などを患っている患者さんをお断りする場合もあります。それらの病気の専門ドクターがいないので当然といえます。合併症を持っているがん患者さんは大学病院や総合病院で一括して体調をコントロールしてもらう方が良いでしょう。

良い医師にかかるには

医者を選ぶことも大事

病院を選ぶことも大切ですが、実際に治療にあたる医師も大事です。病院を選ぶときに規模や知名度だけで判断せず、在籍する医師もチェックしましょう。特に、手術を受けるとなると外科医個人の実力がものを言いますので患者側としても気になるところです。

医師選びのポイントとしては「専門医」であるかどうかで見ると良いでしょう。専門医は各学会(肺がんであれば日本呼吸器学会、外科手術なら日本外科学会など)が認定しているものです。

例えば肺がんの手術をメインで行っている医師が一定の基準をクリアすると、呼吸器外科専門医と名乗ることができます。病院のホームページでは所属する医師が専門医か公表していることが多いので私たちでも確認することができます。外科専門医でしたら、手術の技術、症例数など一定のレベルをクリアしていることになります。ですので、専門医であるかどうかはその医者に治療を任せても大丈夫かどうかという目安になります。これらの肩書きがある医師が在籍している病院が良いでしょう。

担当医との関係

病院を懸命に探した結果、あるいはたまたま診断を受けた病院で担当となった主治医との関係で悩まれる患者さんは少なくありません。理由はさまざまで、医師がぶっきらぼう、説明が不足している、高圧的、若くて頼りないなどが挙げられます。

現在はチーム医療が基本ですので、一人の医師が一連の治療全てを担当するということはほとんどありませんが、たびたび顔を合わせるメインの医師との関係がうまくいかないと困りますね。特に長期的に治療を受けることになる場合は大きな悩み事の一つになるでしょう。

担当医に不満がある場合、同じ病院内で医師を変えてもらうという手段があります。ある程度の規模の病院では同じ科の中で数人の医師が在籍していて、曜日ごとにローテーションが組まれていることが多いです。

通院する曜日を変えることで担当医を変更するというのが一番簡単です。曜日を変えるにあたっては、それまでの担当医に適当な理由をつけて(仕事や家族関係のやむを得ない事情で)曜日の変更を申し出るか、言い出しづらければ受付に申し出るのが良いでしょう。

先生が気を悪くするかもしれない…と気にされる方は多いですが、「自分としては先生にお世話になりたいのだけれど、どうしても変更せざるを得ない」というニュアンスで伝えれば、先生の顔に泥を塗ることもありませんし、患者さん側も言い出しやすいと思います。嘘も方便ですね。

また、医師だけでなく、病院の対応にも不満がある場合は転院という処置をとることができます。転院をする理由についても上記のように、やむを得ない理由につき転院せざるを得ないという旨を伝えて転院するのが良いでしょう。うまく伝えて快く紹介状を書いてもらうのが得策です。

しかし、注意点として病院を移るにあたり、転院先の病院で手術の順番待ちや入院待ちなどで時間を要する場合があり、病状によってはそれがデメリットになってしまいます。転院を考えるときは転院先の病院で、どのタイミングで治療が開始できるかも考えたほうが良いでしょう。

転院に関しては基本的に紹介状を持参します。まれに紹介状がなくても受け入れてくれる病院はありますが、検査などがやり直しになり時間がかかってしまいますし、ご自身で病状を説明することは不可能です。転院先の病院をあらかじめ決めてから○○病院に移りたいと伝えるのが良いでしょう。病院の選び方は上記のとおりです。

おわりに

医師と患者では当然がんや治療に関しての理解が違います。その溝がなるべく小さいほうがお互いのメリットが大きく信頼関係を築きやすいように思います。

患者に対し真摯に向き合い十分な情報を伝えることは医師の仕事のうちですが、患者側としても少し知識を持ったうえでコミュニケーションをとったり、ねぎらいの言葉を一言添えるだけで関係が改善することも多いのではないでしょうか。それは先生のためではなく、ご自身のためであるように思います。

しかし、それでも医師を変えたい場合ももちろんあると思います。そのようなときは、この記事を参考に少しでも安心、納得して治療が受けられる病院選び、医師選びをしてください。

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