進行性がんって何?進行の遅いがんとは何が違うの?

医療の疑問

はじめに、進行がんと進行性がんは同じ意味で使われています。

がん治療においては、早期発見・早期治療と常々言われていますので、がんはすぐに状態が悪化する急性的な病だと思いがちです。もちろん、早急に治療が必要ながんもありますが、進行がんという言葉は皆様のイメージとは違う意味があります。

今回は進行がんとは何か、その対処法などご説明したいと思います。

進行がんって何?

進行がんとは何か

進行がん、あるいは進行性がんは、がんがどこまで進んだ状態であるかを示しています。

がんは臓器の内側の表面から発生し、時間が経つと徐々に奥深くへと入り込んでいきます。大腸がんを例にすると、大腸の壁はいくつかの層でできていて、内側から粘膜層→筋肉層→漿膜に大きくわけることができます。

がんはまず大腸の内側、粘膜層から発生します。そして徐々に大腸の壁の外側へ向けて入り込んでゆきます。そして最終的に、大腸を突き抜けて周辺のリンパや大腸以外の臓器へと散らばってゆきます。

このうち、どのタイミングでも大腸がんの診断を受ける可能性はありますが、筋肉層まで発達した状態を進行がんと呼びます。さらに、粘膜まででとどまっていれば早期がん、他の臓器まで転移した状態を一般的に末期がんと呼びます。大腸以外のがんを含め、ステージでいうと3以降が進行がんということになります。ただし、ステージが示すがんの状態は、各がんによって異なりますので、ステージ2でも進行がんのケースもあります。

進行がんと聞くと、成長するスピードの速いがんというイメージを持たれている方もいらっしゃいますが、成長のスピードではなく、今現在どこまで臓器の中に入り込んでいるか、どこまで広がっているかという「がんの深さや広がり」を表しているのです。

早期がんが実は進行がん?

仮にがんの診断を受けた時、早期がんだと言われたとしましょう。不幸中の幸いということでひとまず胸をなでおろすことでしょう。担当医も「手術でがんを取り除きましょう」と言うでしょうから「手術を乗り切ればがんは治る、安心だ」と思いますね。しかし、早期だと思われたがんが実は進行がん、末期がんだということもあるのです。

診断時での早期がんの診断はあくまでも、体表から機械を用いて撮影したものであったり、内視鏡など器具を通して得た情報での診断です。それゆえ、医師が手術で体を開いて肉眼で確認したもの、あるいは手術で採取した組織を顕微鏡で検査したことによって判明する実際のがんの状態と異なることがあります。

術前には早期がんだと言われていたのに、術後、実は思いの外がんが大きく進行していたという場合も多々あります。また、体の奥深くにあり、検査しづらいがんは、最終的に手術をしてからがんの進行具合がわかる場合もあります。

術後に判明したがんに対しては抗がん剤や放射線の追加治療を行い対処するのが一般的です。

もう一点、術後数か月・数年経って、実は初回治療の時点ですでに末期がんだったとわかることもあります。

手術前に検査でわからない微小ながん細胞が他の臓器に転移していたため、診断を受けたときすでに末期がんだったケースです。これがいわゆる再発につながります。他の臓器に転移しているがんは把握されていませんので手術では無治療です。それらが徐々に成長し、画像検査で確認できる大きさになることで、あるいは患者さんが体調不良を感じることで再発がみつかります。

せっかく辛い治療に耐え、完治したと安心していたのに再発したのではやるせないですね。しかし、残念ながらこれが現在の医療技術の限界なのです。

がん細胞ひと粒の大きさはたったの100分の1ミリ。このように小さいがんでも、転移する可能性はあります。それに対し、CTやMRIなどの画像検査で写しだせる最小サイズのがんは5ミリ以上。微小ながんが体のどこかに散らばり、潜んでいたとしても発見できる術がないのです。

私たちにできることは、できる限り早期で発見し、がんが全身に散らばる可能性が高まる前にがんの成長を食い止めること、そして早期治療のあとはきちんと定期検査を受け、万が一再発のときには早い段階で対処をすることです。

 

進行がんで行う治療

進行がんではどのような治療を行うか

すでに述べたように、多くのがんで進行がんとはステージ3以降のことを指します。しかし同じステージ3であっても、がんのできた部位で状態は異なり、それゆえ治療法も異なります。

しかし手術をするとなれば、ステージ2よりも広い範囲を切除したり、あるいは術後に抗がん剤による追加治療が必要であったり、そもそも手術が適用されず抗がん剤だけでの治療になるということは多くのがんで共通です。

なぜかというと、がんは深いところまで到達していたり、大きく広がったりしていればいるほどやっかいだからです。それだけ細胞レベルでの転移や浸潤(がんが周囲の組織にしみ込んで広がること)の可能性が高くなるわけです。再発の芽を摘むために、もしまだ転移をしていないのであれば、できるだけ転移を防げるようにあらかじめ対処しておこうというわけです。

手術はラッキー?

担当医から手術を提案されたらどう思いますか?

多くの方が手術には抵抗を感じるのではないでしょうか。体の一部を失うことへの絶望や、メスを入れることへの恐怖など抵抗があるのも当然です。

しかし、がん治療において手術が可能というのは幸運なことです。それは、画像で確認できる範囲で完全に切り取り、病期を確定させて、必要であれば術後の追加治療で対応することができるからです。

進行がんで転移の可能性が一定以上高くても、手術を受けることでがんを取り切って完治する可能性が残っているという考えです。ですから、がん治療という観点からすると手術ができるということは不幸中の幸いということなのです。

ただし、手術を受けるべきかどうかは年齢、ご自身の治療に対する思いや人生観などで変わってくると思います。医師が医学的見地から患者さんに対し推奨する治療は当然はありますが、最終的に決めるのは個人の価値観であると思います。手術を受けるべきか迷っている方は医師に手術を受けることのメリット・デメリットを聞いてご自身の気持ちを整理し判断していただきたいと思います。

おわりに

進行がんとはどういうものかということをご説明しましたが、それを知っていただくことで、がんとはどういうもので、どのように闘っていくか考えご自身の人生観をしっかり見つめることができるのではないでしょうか。

そして、その意志をその後の治療方針の基盤にしていただきたいと思います。この記事でご本人はもちろんのこと、ご家族の皆様の精神的な負担が少しでも軽くなり、慢性疾患でもあるがんと付き合うきっかけとなれば幸いです。

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